一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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チューリップのおしべの数

質問者:   一般   み
登録番号1907   登録日:2009-02-05
初めて質問します。極めて単純なことでお恥ずかしいのですが、よろしくお願いいたします。
先日購入したチューリップの花束のうち1本だけおしべが4本のものがありました。他の花のおしべは皆6本でした。見かけ上の花びらの数は6枚(うち3枚は"がく"だと聞いたことがありますので)、曖昧な言い方ですが、ごく普通のチューリップです。チューリップのおしべの数は6本だと思っていたのですが、4本のものも普通にあるのですか?
また、チューリップ以外にも、おしべの数がまちまちな花もあるのでしょうか?
ご回答お願いいたします。
み様

大変長い間お待たせしてしまいました。申し訳ございません。頂いたご質問の回答はまず、単子葉植物の分類の研究をなさっておられる先生にお願いしたのですが、良く分からないと云うことで、次に、東京大学付属植物園の邑田 仁先生にお願い致しました。邑田先生は長期間海外出張をなさっておられましたが、ご出張の前に回答を送ってくださったそうです。ところが何かの手違いで、その回答が受け取れず、ご帰国後再度お送り願いました。邑田先生からなかなかご回答が頂けなかったので、その間に東北大学の菅野 明先生にもご回答をお願いいたし、菅野先生からもご回答がいただけました。お二人の先生のご回答を並記いたします。長い間お待たせしましたこと、重ねてお詫びいたします。


邑田 仁先生のご回答

生き物の形は遺伝子によって決められており、普通は決められているとおりに形成されます。チューリップの場合、花びらの数は6枚、雄しべの数は6本に決まっているはずですが、そうでないこともあります。お尋ねのように雄しべが4本になっていること(奇形と呼ばれますね)について考えられる理由の一つは、遺伝子そのものが変化していて、雄しべが4本になっている場合。もうひとつは、その株が成長して花を作っている時になにかの原因で遺伝子に決められたとおりに雄しべが作られなかった場合です.もしその株が生きていれば、何年か花を咲かせてみて、いつも雄しべが4本になるなら遺伝子の変化。翌年は6本にもどってしまうなら、たまたま成長条件の異常で4本になってしまったのではないかと推定できるでしょうが、切り花ではできませんね。

チューリップのような園芸植物は、品種改良によっていろいろな遺伝子を変化させているので、奇形が出やすいかもしれません。また、自然状態(野生の植物)でもこのような雄しべや花びらの数の変化がまれに見られます。

菅野 明先生のご回答

単子葉植物の花は基本的に三数性ですが、チューリップでも外花被片、内花被片などが四数性のものが稀にみられるようです。私は1度だけ、北海道のある公園内で四数性のチューリップの花を見かけました。ただこの花のおしべは確か8本だったと記憶していますし、花の全ての器官が四数性でしたので、ご質問のものとは少々違います。
四数性の花もご質問の花もおそらく発生過程の異常と思われます。

邑田 仁/菅野 明(東京大学付属植物園/東北大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2009-03-10
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