一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アントシアニンのインク

質問者:   高校生   きゃべこ
登録番号3199   登録日:2014-12-11
こんにちは。今私はアントシアニンからペンのインクを製作する実験をしています。紫キャベツから1%塩酸メタノールで抽出した抽出液をエバポレーターを用い濃縮したのち濃縮した抽出液の二分の一の量のイソプロパノールを加えたものを空のペンに入れました。そのペンは紙に書くことができました。最初は赤色ですが時間がたつと紫色になりやがて青色に変化します。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。教えてください。
きゃべこ さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
面白い実験ですね。うまく「インク」ができて最初は期待した赤色だったのが紙の上で「紫になりやがて青色になる」のはどうしてか。アントシアニン(赤キャベツの主なアントシアニンはシアニジンに糖が結合したものです)は酸性では赤色、弱酸性(pH 6-7)では青色、中性からアルカリ性(pH 7-以上)では紫色を呈します。弱酸性から中性域での色は見方によっては青に見えたり薄紫に見えたりするかもしれません。抽出作成した「インク」は酸性(といってもかなり弱い酸性)だと思われます。最近の紙はほとんどが中性紙です。手元のコピー紙に水一滴をたらし、しばらくしてpH 試験紙で調べたところpH 7―7.5位でした。このような紙に「インク」で書いた当初は赤くても乾燥してくるにしがたい中性側になるので青、紫へと変化したのかもしれません。
さらに、アントシアニンは光にあたると酸化され無色になります。また、「インク」はアントシアニンだけでなくほかの無色のフェノール性物質(コーヒー酸、クロロゲン酸、タンニンなど)が含まれているはずです。これらの物質は空気中では酸化されやすく酸化すると褐色(薄ければ黄色)を呈するようになります。これらの、いくつかの反応が重なって色が変化すると考えられます。もう暫くおけば黄色から薄褐色になっていくのではないかと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2014-12-18
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