一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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乾燥ストレスと膜強度

質問者:   その他   はしもと
登録番号0178   登録日:2004-12-13
私は現在、水ストレスが果実収量と品質に与える影響について勉強しています。

質問なのですが、今読んでいる論文の中に、乾燥ストレスを与えることによって細胞膜強度が低下したという記述がありました。10mLの蒸留水に葉の断片を浮かべて、24時間インキュベートした時の蒸留水のECをオートクレーブにかけた後のECで割るという方法で測定されていました。

乾燥ストレスが強ければ強いほど、リパーゼやプロテアーゼなどの酵素によって細胞膜が分解されて膜構造が変化してしまうのでしょうか?植物がストレスに適応し、生き残るために、古い細胞を分解してカリウムなどの無機イオンを新しい葉に転流しているのでしょうか?

ご助言お願いします。
はしもと様

 乾燥ストレスでなくても、低温ストレス、光ストレスや病原菌の感染などによっても同じような現象が引き起こされます。原因としては、一般に細胞膜強度の減少やイオン輸送系の活性化であると言われていますが、細胞膜強度とは、何かと言うと、明確な答えはありません。過去に、光ストレスによって細胞膜に穴ができると言う報告がありましたが、今回の質問の乾燥ストレスで同様な現象が起きるかどうかは良くわかりません。界面活性のある長鎖のアルコールのようなものを細胞に与えても、細胞内からのイオンやタンパク質の流出は起きますが、見た目に細胞が壊れているかはわかりません。また、リパーゼやプロテアーゼが関与するかどうかも不明です。
 まとめると、ストレスによって、細胞は、細胞内のものが流出する状況になることがあります。それは、膜の損傷や輸送系によるものと考えられますが、その分子機構は今後の解析によるということだと思います。
岡山大学
 村田 芳行
回答日:2008-08-07
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