一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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きのこが出てくる

質問者:   その他   SATORU
登録番号0635   登録日:2006-05-07
クラスの子どもから「庭にはえてくるキノコをとっても、すぐ同じ場所から出てくるのは何で?」と質問されました。
「庭の飾りの枕木の近くが多い」とも言っています。
自分なりに調べて、キノコは「菌」の仲間であること、栄養分のある所に生えることなどを知りました。
でも、明確に答えられずに困っています。
雑草と同じように根こそぎ取ってしまっても菌が残っていると言うことでしょうか?
枕木から、菌の栄養になる物が流れ出ているのでしょうか?
文章だけの説明では不十分です。
推測に近い回答でも結構ですので、是非教えてください。
SATORUさま

 みんなの広場へのご質問有難うございました。担当の柴岡と申します。以下のような回答を作ってみました。参考になれば幸いです。

 “きのこ”がまだ生えているようでしたら、きのこの柄を切り離し、“かさ”をかさの下側を下に紙の上に一晩置いてみて下さい。かさの下側が白っぽかったら黒い紙、黒っぽかったら白い紙を使って下さい。翌朝、紙の上に模様が描かれているのが分かると思います。この模様はかさから落ちて来た粉のようなものによるもので、この粉のようなものは胞子といってきのこの子孫を作るものです。かさを紙の上に置いたので、胞子は紙の上に落ちましたが、自然状態では胞子は土の上に落ちます。土の上に落ちた胞子は発芽して、細長い菌糸というものを伸ばします。菌糸は枝分かれをしたり、他の胞子から伸びてきた菌糸と融合したりして、地表近くに菌糸のネットワークを作ります。ネットワークが発達したあと、条件がととのうと、菌糸は集まってきのこを作ります。きのこは菌糸の集合体です。そしてこのきのこはまた胞子が作るわけです。ということで、菌糸のネットワークが普通の植物の場合の葉や茎や根に当たり、きのこは花に当たるわけです。ですから普通の植物で花を取り除いてもまた花をつけるように、きのこを採っても、菌糸のネットワークが残っていればまたきのこが生えて来るのです。きのこが生えていた場所近くの土を取り除くと、白い菌糸の集まりを観察することができる場合がありますので、ちょっとやってみては如何でしょう。
「飾りの枕木の近くに多い」ということですが、これは枕木からしみ出した養分によると言うよりは、どんどん伸びて枕木の中まで入り込んだ菌糸が直接枕木の中の養分を吸い取っているのだと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-05-18
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