一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉が交互に出るメカニズムについて

質問者:   教員   SATY
登録番号1012   登録日:2006-08-28
最近遺伝子発現に興味があり、動物の受精卵からの発生・分化についての本を読んでいました。
しかし、植物の発生・分化について詳しく書かれている本が見当たりませんでした。
そこで、最も疑問に思ったことを質問させていただきます。どのようなメカニズムで葉が交互に出るのでしょうか?
規則正しく並んでいる葉を見て、不思議に思うのです。宜しくお願い致します。
SATYさま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡と申します。葉の出方に秩序があることについては私も興味があるのですが、どのようなメカニズムで秩序が生じているのかについては残念ながら分っていません。仮説のようなものはありますので、それについて述べてみます。葉の付き方には、一カ所から2枚の葉が出る対生、3枚以上出る輪生、1枚づつの葉が、ある角度を持って出る互生とがあります。
互生には連続した2枚の葉の角度によって1/2、1/3、2/5、3/8などいろいろな互生があります。1/2とは360°の1/2の事で2枚の葉の角度が180°の場合です。n番目の葉の次の葉(n + 1 番目)が、n番目の葉の向う側に出る場合が1/2です。葉の元になるもの(葉の原基と言います)は茎頂分裂組織と呼ばれる茎の先端のド-ム状のものの、ドームの先端から離れた場所に出来、膨らんできて葉になります。仮説は葉の原基は次の葉の原基ができるのを抑えているというものです。ドームが小さいと一つの葉(n番目)の原基ができると、ドームの大部分を占めるようになり、次の葉(n + 1 番目)の原基が作られる場所は、n番目の向う側に限られて来くるので、1/2の葉序になると言うのです。葉の原基はこのように場所を塞ぐことで、次の原基ができるのを抑えるるだけでなく、何か原基の形成を阻害する物質を放出しているという考えもありますが、阻害物質については全く分っていません。ドームが大きいと、一つの原基が出来ても、次の原基のできる場所は広く残されているので、葉序はもっと複雑になることができます。ヒマワリは子葉が開いたあと、まず、対生の葉が出て、次に1/2の葉序で葉を付け、大きくなるにつれて1/3、2/5と葉序は複雑になり、最後には55/144という葉序になります。これはヒマワリが大きくなるにつれて茎頂のドームがどんどん大きくなるからです。道路の脇に植えられているアベリア(和名:ハナゾノツクバネウツギ)の葉は対生ですが、なかには輪生のものもあります。輪生のものは対生のものよりドームが大きいのです。
わからないことだらけですが、ドームの大きさと葉の付き方に関係があることは確かです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-09-03
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