一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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月下美人

質問者:   中学生   ふう
登録番号1016   登録日:2006-08-29
うちには祖父の育てている月下美人の鉢植えがたくさんあります。
先日天気が悪く、昼間から雷雨で真っ暗になった日がありましたが、そんな日でも、夜になってから花が開き始めました。
月下美人は、どうやって昼と夜の違いがわかって咲くのですか?
ふう さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。ご質問は登録番号1016で受け付け、お答えします。

月下美人のつぼみはふつう夕方、7―8時頃から開き始め、2時間ほどすると満開となります。強い芳香と大型の白色花が特徴で、原産地のメキシコ熱帯雨林では月下美人の花粉を媒介する小型コウモリを惹きつける役割を果たしているようです。地球上の生物は、ほぼ24時間を1周期とする昼/夜(明/暗)周期の中で進化してきたため、この周期と同調するような体内時計を持つようになりました。植物は、明け方と夕方に地上に達する太陽光の波長組成と昼間の波長組成との違いを、特別な色素タンパク質群が感知して、昼がはじまったのか、夜がはじまったのか、といった変化を知り、体内時計で昼の長さ、夜の長さを測って、開花時期を含むいろいろな働きを調節しています。月下美人、マツヨイグサやユウガオなどは、夕方(夜のはじまり)を知り、体内時計で時間を計りながら花を咲かせはじめるわけです。体内時計は環境周期が変化しても、すぐには変わりませんので、月下美人のつぼみを昼間に暗くしても開花しませんし、逆に照明した室内においておいても、夜になれば花を咲かせます。多くの植物では、昼夜の長さ(日長)が、花を咲かせるかどうかに大きな影響があります。初春から初夏にかけて咲く花、夏の終わりから秋に咲く花は、夜の長さを測って花の咲く時期を決めています。登録番号0750に関連する解説がありますので参考にしてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-09-09
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