一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ワシントンヤシモドキの年間の成長伸度

質問者:   会社員   オガワヨシノブ
登録番号1034   登録日:2006-09-06
九州や太平洋沿岸の観光地域でよく植栽されているワシントニアパーム(ワシントンヤシモドキ)ですが、よく枯れた葉を取り除く作業を年間2〜3回しています。
枯れた葉を取り除くことによって、樹木の成長伸度(㎝)が本来より伸びているのではと思うことがあります。
米国西海岸では、この枯れた葉を取り除かないでそのままにしていると文献で見たことがあります。
実際、枯れた葉を取り除かない場合、ワシントニアパーム(ワシントンヤシモドキ)の成長伸度(㎝)は年間どの程度なのでしょうか?
もしくは、枯れた葉を毎年取り除く場合と、そのままの状態にしておく場合とでは成長伸度に差はあるのでしょうか?
分かる範囲で結構ですので、教えてください。
オガワヨシノブ さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。ワシントンヤシモドキに関するご質問は登録番号1034で受け付け、回答をお送りします。

ご質問にあるワシントンヤシモドキ(Washingtonia robusta、牧野新日本植物図鑑ではオキナヤシモドキ)はカリフォルニア、アリゾナ、フロリダなどでは街路樹としてたくさん植栽されているばかりでなく、鉢植えとしても園芸店で売られているヤシの一種です。このヤシの特徴は枯れた葉が垂れ下がって幹に残り、襟巻きのように茎をカバーすることですが、火災の危険があること、野ネズミなど小動物の営巣場所になること、などから地域によっては除去することが義務づけされているか、強く勧められています。しかし、高さ20mを越えるものも珍しくなく、その枯葉除去はかなりたいへんな作業となっているようです。フロリダ南部では、ハリケーンの強風で、ほとんどの枯葉が吹き飛ばされてしまうと言われています。枯葉を除去する理由の中には、成長が早まると考える人はいるようですが、確かな測定結果に基づいたものではありません。むしろ、真っ直ぐ伸びた茎の姿が好まれる方が大きな要素となっているようです。日本で枯葉を除く理由は、聞いてみなければ分かりませんが、放置してばらばら落ちるより、定期的に除去した方が管理しやすい上、立ち姿がよくなり景観上の理由もあると思われます。一般論として、枯葉は仮に母体に付着していたとしても、母体との連絡はありませんので母体の成長に影響を及ぼすことは考えにくいことです。ワシントンヤシモドキのようにまとまって残れば小動物をはじめ病原菌などの繁殖の元になり、母体の生育に良好な条件とは言えません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-09-09
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