一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ユリの開花のしくみ

質問者:   教員   mi
登録番号1046   登録日:2006-09-11
生徒の質問で調べても分からなかったことについてです。
よろしくお願い申し上げます。

生徒によるとユリの開花について調べたところ、花弁とがくが16センチに達したところで開くという結果が出たそうです。
しかし、開花をコントロールするもの(花弁が開くしくみ)が分からなかったそうです。
花弁が成長しきってから開花するところから内側と外側の細胞の数の増え方の違い(内側の細胞が多くなり、外側が相対的に少ない)といったことは考えられないと推測したそうなのです。
しかし、その後調べ方に行き詰まり、どのような実験をすれば花弁が開くしくみが分かるかと質問されました。
私自身少し調べてみたのですが、ユリの花弁が開くしくみについて探すこともできず、仮説や実験方法も思いつきません。
そこでシロユリの花弁とがくが開花するしくみとその確認方法を教えて頂きたくメールしました。

ご教授よろしくお願い申し上げます。
mi様

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。ユリでは蕾みの長さと、花粉などの受粉、受精に必要なものの成熟度とが良く一致しており、蕾の長さを測るだけで、花粉の成熟度が分かるそうです。ということから、蕾がある一定の長さになると開花するということは、蕾がその長さになると、花の準備が整ったということで、生徒さんの気がつかれたことは、そのことだと思います。さて開花の機構ですが、折角、細胞数の内側での増加ではないというところまで推論なさったのですから、まず、本当にそうかどうかを確かめてみてはいかがでしょう。細胞数が増えていなかったら、あと考えられるのは細胞の大きさの増加ですが、これも確かめられると思います。16センチ全部をしらべるのは大変でしょうから、蕾みのうちに墨(マジックインクは不可)で1センチづつ印を付けておき、上のほうの1センチ、中ほどの1センチ、下のほうの1センチなど適当に測る場所を選んで、開花前後で細胞の数、大きさを較べて下さい。細胞の数、多きさはマニキュアを用いたレプリカ法が手軽で便利です。無色のマニキュア(すこし除光液で薄めた方がよい)を表面に薄く塗り、乾いたら剥がして顕微鏡で観察して下さい。なにか分かると思います。ご質問の内容とは直接関係ありませんが、ユリのように蕚と花弁とが同じ形をしている場合、これをまとめて花被と呼び、蕚にあたるものを外花被、花弁にあたるものを内花被と呼びます。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-09-12
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