一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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斑入り

質問者:   会社員   sasa
登録番号1272   登録日:2007-05-18
初めまして
宜しくお願いします
斑入りの植物についての記事を読ませていただきました
熱帯の植物の斑入りは空気の混入(?大雑把な捉え方ですが)
が多くその役割はよくわかっていないとありました
わかる範囲で教えて戴けたらと思います
また自宅の観葉植物も斑が入っていますが、この場合
斑をより鮮やかにするためにはどうしたらよいのか
人工的に斑を入れることは出来ないか
可能性をお聞かせ戴けたらと思います
sasa 様 

本コーナーに質問をありがとうございます。ご質問には、植物の斑入りの仕組みについて多面的に研究されている岡山大学資源生物科学研究所の坂本 亘先生から、以下の回答をいただきました。ご参考にして下さい。

ご質問にある熱帯植物の斑入りは「構造的斑入り」といわれ、色素の有無(葉緑体が発達しているかどうか)ではなく、葉肉細胞の発達が悪いところが抜けたように見えるために斑入りに見えます。原因についてはよくわかりません。ただし、熱帯の林冠などに自生する植物では表皮に紫色の色素(アントシアニン)を蓄積したり、上に述べた構造的斑入りが見られることが多いので、何らかの生理的意義があるのではないかと考えられています。そんな植物の努力にはおかまいなしに、我々人間は美しいと思って観葉植物にしているわけですね。

憶測ですが、植物が様々な環境変化、特に日照の変化に対応するためにわざと斑入りを作っている可能性はあります。植物が緑色に見えるのは葉緑体にクロロフィルと呼ばれる色素があるためで、この色素が光エネルギーを吸収して光合成を行います。しかし、強すぎる光のエネルギーは植物に有害で、葉に日焼けをおこして枯らしてしまいます。植物は人間のように日陰には移動できないので、そのような強い光条件にも適応するために、斑入りになると都合がよいのかもしれません。斑入りの白いところは死んだ細胞で出来ているのではなく、生きています。

この憶測が正しければ、sasaさんのご自宅にある観葉植物を光のより強いところに出したり、温度を変えたりすることで斑が鮮やかになる可能性はあります(ただし枯らさないように注意して下さい)。

人工的に斑入りを作れるかという質問ですが、突然変異により斑入り作ることは可能です。例えば、トマトにきれいな白と緑の斑が入る突然変異があり、上手く育てると白い実が出来たりします。この系統は「ゴースト」という名前がつけられています。作物に関して言えば、縞イネなど、そのような突然変異は知られていますが、一般に収量が下がるので、品種としては殆どありません。

ちなみに、上に述べた構造的斑入りだけでなく、斑入りには様々な種類があることがわかっています。それらの詳しい解説は本質問コーナーの他の回答を参考にして下さい。

坂本 亘(岡山大学資源生物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2007-05-25
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