一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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でんぷん葉と糖葉について

質問者:   その他   畑山貴英
登録番号0128   登録日:2004-09-18
はじめまして。小学校の教員をしているものです。

「光合成で作られたでんぷんがどのようにして、根や実に移動するのか」

ということを追究していました。

①光合成では最初にブドウ糖ができて、でんぷんを作り、その後、ショ糖になって、水に溶けて、師管を通る。
②糖葉といって、でんぷんを作らずに、ショ糖として葉に蓄積するものもある。たとえば、ネギとかタマネギとか、ほうれんそうとか。
③運ばれたショ糖は、成長点でエネルギーとして使われたり、実や根では、でんぷんに変えられて貯蔵される。
④てんさいは、根にショ糖を貯め、さとうきびは、長い茎にショ糖を貯める。

といったようなことが分かりました。

今は、②や④のような私たちのよく知っているサツマイモが葉にも根にもでんぷんを蓄えるといったこととは、少し変わった植物を探しています。
他にもこのような例がありましたら、教えていただきたいのです。

お忙しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。
畑山 貴英さま

光合成産物の転流・貯蔵について、

葉での光合成産物、葉から貯蔵器官へ移動(転流)する物質、貯蔵器官で貯蔵される物質について下の表にまとめました。なお、( )内に、光合成産物の細胞内合成場所、または貯蔵される組織や細胞内の場所を示しました。

葉の光合成産物 転流物質(師管) 貯蔵物質 一般的には デンプン(葉緑体内)ショ糖(細胞質) ショ糖 デンプン(アミロプラスト)ショ糖(師部組織:サトウキビ、 液胞:サトウダイコン)
特殊な例   a糖アルコール (マニトール、 ソルビトール)
bラフィノース、 スタキオース a糖アルコール(リンゴの蜜のように局部的に)bラフィノース、 スタキオース cフラクタン

上の「特殊な例」に該当する植物を科レベルで表すと: 
aバラ科、 シクンシ科; bカバノキ科、 フジウツギ科、 シクンシ科、 スイカズラ科、 クワ科、モクセイ科、クマツヅラ科 cキク科、 ユリ科、 アヤメ科(以上では葉、 花、地下茎)、 イネ科(葉: オオムギ、 オートムギ、ライムギなど)

ラフィノース, スタキオースは、ショ糖にさらに糖が付加された形をしている。グルコースをG、フルクトースをF、ガラクトースをGalで表すとすると、 ショ糖はG-Fとなる。ラフィノースはGal-G-F、スタキオースはGal-Gal-G-Fと 表される。同様に、貯蔵物質としてのフラクタンは、G-F-F4-300となる。したがって、これらの糖はすべてショ糖の誘導体であると言えます。
埼玉大
 大西 純一
回答日:2008-07-09
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