一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

18枚のクローバーはどうやってできたの?

質問者:   中学生   スクランプ仔★
登録番号1403   登録日:2007-08-26
はじめまして。いま、私は四葉のクローバーがどのようにできるのかについて調べています。他の方の質問もとても参考になりました。ありがとうございました。
私は踏まれたり、栄養が多かったり、突然変異が起きたりして、四葉のクローバーができる事は分かりました。あるネットで見つけたのですが2002年に岩手県で葉が18枚のクローバーが見つかったそうです。葉が18枚のクローバーなんかできるのですか?5枚や6枚のクローバーだって珍しいのに・・・それは土から出てきたものですか?それとも人間の行った品種改良によるものですか?教えてください。よろしくおねがいします。
スクランプ仔★さま

みんなのひろばへのご質問有難うございました。頂いたご質問の回答を今まで四葉のクローバ-に付いての質問の回答をお願いして来た東京大学の塚谷裕一先生にお願いしましたところ、以下のような、18葉のクローバーに限らず、人間のやっている品種改良全般についての話しとしての回答をお寄せ下さいました。しっかり勉強して下さい。

スクランプ仔★さんへ
質問、ありがとうございます。ギネスブックに出たというものですね。これを育成した人の話を読んでみましたが、かなりの苦労をして、品種改良を重ねたようです。つまり、遺伝的に3枚ではなく4枚、5枚の小葉をつけるものを選び抜いて、それをさらに良い条件で育てて、ということをした成果のようですね。
ところで普段、私達が食べている野菜のことを、ついでに説明しておきましょう。多くの野菜も、このクローバーと同じように、自然界ではほとんど見ることができないようなものを選んで、長い間、遺伝的に品種改良した結果、今のような姿になったのです。たとえばパセリ。自然界では、あんなにちりちり丸まっていては、光合成もしにくいし、大きく広がりにくいですよね。野生では生きていくのが難しいでしょう。でも料理の付け合わせにしたり、刻んで香りを付けるときには、ちりちりとしていた方が便利なので、そういう理由から、人がああいうものを選び抜いた結果、今、日本ではああいうパセリばかりになったというわけです(欧米では、葉のちゃんと開く系統も料理に使われています)。
またキャベツもそうですね。あんなに丸く玉になってしまう性質は、自然ではまず見られないものです。丸く玉になって、互いに重なってしまったら、中のほうの葉は光合成ができません。でも食べるときには、丸く堅く玉になってくれた方が、料理しやすいし、柔らかく甘くなりますよね。ですから人は、品種改良という方法を使って、ああいう、自然界では見られないような奇妙なものを選び抜いてきたわけです。
そういう歴史が続いてきた結果?では、パセリもキャベツもみな、あんな形で不思議だとは思わなくなっているわけですね。ということは、もしかすると将来、4葉はもちろん、18枚の葉のクローバーのことを、誰も不思議と思わなくなる時代が来る可能性も、あるかもしれません。

塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-09-06
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内