一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

桜の開花と環境

質問者:   教員   ゆり
登録番号1590   登録日:2008-04-23
同じ種類の桜の木が咲いている場所で、毎年一本だけはやく咲く木があります。
うわさでは、地下に温水が通っているパイプがあるからだろうということです。
そうだとすると、根もしくは地下茎で温度を感知して開花にいたっているのですか。開花は、温度の影響を受けるのだとすると、どの部分でそれを感知しているのでしょうか。桜を開花させる影響を与えるものはなんでしょうか。教えてください。
ゆり さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「桜の開花と環境」のご質問についてはサクラを専門に研究しておられる森林総合研究所の勝木敏雄先生から次のような回答をいただきました。植物では個々の細胞がそれぞれ温度を感じていると考えて間違いないものです。一斉に咲くように見えても、実際には開花の早さが少しずつ違っています。地温を含め樹木周辺の微気象は決して均一ではありません。

サクラの開花時期は気温に大きく影響されることがわかっています。ただし、サクラの木の特定の部位で気温を感知しているということではありません。開花直前の蕾が成長して開花にいたる段階では、細胞内の温度に対応して、個々の花それぞれが発達していきます。したがって、地下に温水が通っているパイプがあるような場合、温かい地表が花のある部位の気温を上昇させることが考えられますし、根から吸収された水を介しての温度の上昇も考えられます。このような花がある部分の温度の上昇が、開花期を早めると考えられます。

勝木 俊雄(森林総合研究所 森林バイオ研究センター)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-04-30
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内