一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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えぐみについて

質問者:   会社員   ちこぞう
登録番号1662   登録日:2008-06-20
カイワレダイコンを生産しています。味についてわからないことがありましたので質問させてください。
ほうれん草では硝酸態窒素が増えることにより中和させるために体内でシュウ酸量を増やすことにより、このシュウ酸がえぐみ等につながると理解しました。他の野菜ではいろいろな酸やポリフェノール類が増加すると書いてありました。
大根では硝酸態窒素が増えることにより中和させるために具体的にどのような物質が増えるのでしょうか?物質名や化学式等を教えてください。またそれはえぐみの元となるのでしょうか?
知識が乏しく初歩的な質問化と思いますが教えていただきたいと思います。お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
ちこぞう さま

植物食品のえぐ味についてこれまでの本質問コーナーでたびたび議論されています。登録番号0236, 登録番号0430, 登録番号0432, 登録番号0986, 登録番号1119, 登録番号1269, 登録番号1205, 登録番号1269に対する回答をご覧下さい。えぐ味といった複雑な味覚は、単純に割り切ることが難しい問題で、単純に一成分の含量だけで決められません。えぐ味をもつ植物にシュウ酸、とくに、シュウ酸カルシウムの結晶が含まれていることが多くいため、これだけがえぐ味の唯一の成分と考えられていますが、硝酸塩を施用すれば多くなる植物体の硝酸塩、その他の原因で含量の増加するタンニン、ポリフェノールなども、えぐ味に関与しています。一般に硝酸塩肥料よりもアンモニウム肥料を与えると、シュウ酸含量が低くなるようですが、ダイコンの場合、そのようになるか、どうかは分かりません。

ご質問にある「硝酸塩をシュウ酸が“中和”するためにシュウ酸がたくさんできる」ことは、ないと思われます。硝酸イオン、シュウ酸イオンは共にアニオンで、この二つのアニオンが直接に相互作用することはありません。硝酸塩含量が高くなれば、植物体内のシュウ酸含量が高くなる傾向になるのは、もっと間接的な機構だと考えられますが、その機構は解明されていません。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2012-08-25
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