一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アサガオの葉とつぼみのつきかた

質問者:   一般   すずき
登録番号1857   登録日:2008-11-27
こんにちは。
先日はご教授ありがとうございました。

さらに、アサガオについて、わからないことがあります。
この場を御借りして、おたずねしてよろしいでしょうか。

(小1の我が子が、9/1巻きのアサガオを育てております。毎日、温度と天気も記録しています。)

・10月下旬のことです。
アサガオの頂芽(というのでしょうか?)が枯れていないにかかわらず、一番最初にでた本葉のもとに、葉がでてきました。
その後、2番目にでた本葉のもとに、葉ができました。
そして、つぼみもそこに群生してきました。
一枚の葉のもとに、つぼみが、2つも3つもできていました。
(その後、少しですが、上の方に、葉も芽もでてきています)
どうしてなのでしょうか?
夏にみた、上に上にと葉やつぼみを増やす姿ではないのです。

・最初のつぼみが、3枚目の本葉の元から、でました。
1枚目、2枚目のもとからではないのは、どうしてなのでしょうか?

お忙しいところ、申し訳有りません。どうぞ、ご教授くださいますよう、よろしくお願い致します。
すずき さん:

いつも、みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
今回のご質問は、アサガオの花成研究をされている新潟大学の竹能先生に回答をお願いいたしました。


すずきさん、その子供さん:

 まず、今回のご質問以前に、「アサガオは、星☆の一筆書きと同じ順番で葉っぱがでる」ことについて質問されたことを聞きました。葉序について、これほど正確に、的確に表現した例を知りません。科学的な観察力と、感性豊かな表現力をうれしく思います。

 さて、今回観察された内容は次のようなことでしょうか?(1)アサガオは、夏には、茎がさかんに伸びて、上の方でわき芽やつぼみをつけるのに、秋には、茎があまり伸びずに、下の方ですぐにわき芽やつぼみをつける、(2)そのとき、最初のつぼみは3枚目の本葉のもとにつき、(3)つぼみは、一枚の葉のもとに2つも3つもできる。どれも、簡単な問題ではないようですが、私の考えるところをお話しします。

(1)「頂芽が枯れていないにかかわらず」と書かれているので、頂芽優勢という現象はごぞんじのようですね。茎の先端がさかんに伸びているときは、その影響で、下の方の葉のわき芽は伸びることができないので、葉がでてきません。先端が折れたりして頂芽が無くなると、その影響も消えるので、下の方からわき芽が伸び、葉がでてきます。秋には、気温の低下によって茎の伸びがおさえられるため、同じことがおこると考えられます。

(2)アサガオは短日植物で、1日の夜の長さが長くなると季節の変化を知って、つぼみを作らせる物質(フロリゲンと言います)を作るようになります。しかし、この物質が十分な量作られる頃には、1枚目、2枚目の葉のもとのわき芽はすでに葉芽になってしまっていて、つぼみに変化することができません。3枚目の葉のもとのわき芽はまだ若いので、フロリゲンに反応して、つぼみに変化します。

(3)「わき芽」と書いてきましたが、わき芽は枝分かれする茎がまだ伸びていない状態で茎と同じものですが、ごく小さく若い葉があり、その付け根にもまたわき芽ができます。これらがつぼみになれば、一枚の葉のもとにつぼみが2つも3つもできるように見えます。また、一つのつぼみのつけ根には苞(ほう)と呼ぶ細い葉のようなものが2つあります。このつけ根にもつぼみができることがありますので、この場合にも、3つのつぼみがかたまってできるように見えます。これら2つの可能性が考えられますので、どちらであるか、よく観察してみてください。

竹能清俊(新潟大学理学部)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-12-15
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