一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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もやしの根の色について

質問者:   会社員   もやし太郎
登録番号2841   登録日:2013-04-22
もやし(緑豆)の根の色に関しての質問です。

もやしの根はやや茶色をしていますが、育成するたびに若干の違いがあり、濃い茶色になるときもあれば白に近いクリーム色のような色の時もあります。

濃い茶色は見た目もあまり良くないので、できることなら毎回白に近い色にしたいと考えていますが、根が茶色になる原因として何が考えられるのでしょうか?

散水の量や水温、噴射するエチレンの濃度、酸素濃度などの育成条件がほぼ同じでも茶色になったり、白色になったりまちまちなので原因が特定できていません。

1つ解っていることは、種を蒔いてから4〜5日目くらいまでは根は白色をしていますが、5〜6日目あたりから茶色になるようです。

回答よろしくお願い致します。
もやし太郎さん:

みんなの広場質問コーナーのご利用ありがとうございます。
もやし製造という実際的な局面での経験はありませんので、期待されるお答えになるかどうかわかりませんが、私の実験上の経験から推測してみます。
昔、ブラックマッペのもやしを実験材料として使っていました。種子を消毒して吸水させ、寒天上にまいて暗所におくと根は寒天床(寒天は水道水にとかし固化させたもので、栄養は入れていません)の中に入って成長しますが、7日くらいまでは根が茶色に着色することはありませんでした。7日をすぎると、根の付け根部分は薄黄色に着色する傾向はあります。使用回数は少なかったですけれどリョクトウでもおなじように結果でした。つまり、もやしの根は元気で、外傷を受けなければ茶色にならないようです。
一般に植物の組織が茶色になることは珍しいことでなく、表面が傷つけられたり強く押さえつけられたりしたとき、病原菌に感染したとき、何らかの薬物の影響を受けたとき、そして環境、栄養条件が不都合で生理的状態が悪いときに起こります。
さて、寒天上の培養条件はもやし製造の条件とは違います。もやし製造では、吸水させた種子を適当な籠に入れ定期的に散水して成長させていますね。もやしは籠のなかで何重にも重なって生育しますので、もやし同士が成長による動きで互いにこすれあう状態です。また、下部にあるもやしは上部の重さのために圧迫されます。そのため、表面はどうしても微細な傷が出来る可能性があります。特にもやしの根はたいへん細く、ちょっとした湿度低下でも乾燥気味になりますし、少しの傷、圧迫でも周辺の細胞が部分的に破壊されて褐変する傾向にあります。また、籠の上部、中部、下部、あるいは周辺部、中央部とで酸素濃度、二酸化炭素濃度、温度はもやしの呼吸のため変化しています。この物理的傷害と籠内の局所環境変化の影響が一つの原因と考えられます。物理的障害がおこる程度や酸素濃度、二酸化炭素濃度、温度、湿度の局所的な違いは、もやしの生理的状態に影響しますので、ある時は生理状態の悪いもやしの量が多くなることもあり得ます。特に、数日以降に着色し始めるということは、根が部分的に老化過程に入って「くたびれ」てきたため影響を受けやすいためでしょう。素人考えでは籠に入れる種子量を少しばかり少なめにしたらどうかな、とは思いますが?
第二に普通はないと思いますが考えられることは、散水する水に含まれるカルシウム量が関係しているかもしれません。私の経験では、例えば蒸留水や純水で作った寒天床を用いると根ばかりでなく、茎上部の湾曲部も着色する傾向がありました。その原因はカルシウムであることが分かりましたが、水道水には微量のカルシウムが含まれているので普通はそれで十分です。でも水道水のカルシウム含量は一定とは限りません。それが影響しているかもしれません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2013-04-24
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