一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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暗発芽種子と光発芽種子について

質問者:   高校生   吉田くん
登録番号2895   登録日:2013-07-07
私は、ジベレリンと暗発芽種子の発芽の関係について調べています。

ジベレリンには暗発芽種子の発芽の促進作用があると聞きました。

そこで、きゅうりと小松菜の種子を使い実験をしました。

まず、シャーレにろ紙を敷き、種子を百粒ずつ入れ、ジベレリン濃度0.1%の液
(純水で薄めた)でろ紙を湿らせました。
もう一ペア同じものをつくり、こちらは箱の中に入れ光が入らないようにしました。
その後、25℃でインキュベートし3日置きました。
結果としては、四つ全て9割を超える発芽率となりました。

今度は、条件を純水に変えて同じ実験をしましたが、結果はまたも全ての発芽率が9割を超える事となりました。

今度は、小松菜に光が当たらないのに発芽するのはおかしいと思い、
純水で同じ実験をしました。

今回は、小松菜とレタスです。
光発芽種子同士で比べてみようとしたのですが、結果は小松菜が発芽率9割以上
なのに対しレタスはどちらも発芽率0%でした。

なぜ、光発芽種子の小松菜は暗い所でもあんなに発芽するのでしょうか。
それにきゅうりも、明るい所で発芽しているのでしょうか。

なぜ、レタスは発芽しなっかたのでしょうか。

それとも、この実験には何か欠点があるのでしょうか。

教えてください。
吉田くん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。種発芽と光との関係を調べる時に大切な事は、適切な材料を実験に使用することでしょう。吉田君の今回の実験は材料の選択に問題があったと思います。ある種子の発芽には光が必要であったり、別の種子では光があると発芽が抑制されたり、また、光の有る無しとは無関係な種子があったりするのは、夫々の植物が進化の上で、最も環境に適した発芽条件としてそのような性質を作り出して来た結果なのです。したがって、光発芽とか暗発芽を調べるときは野生の植物を対象にする方が良いと思います。栽培品種の植物は人が時間をかけて、扱い易いように育種してものですから、元々の野生の性質が残っていない事が多いのです。暗発芽種子としてキュウリ、光発芽獅子としてコマツナを使ったようですが、これらは多分光に無関係に発芽できる種子だとおもいます。ふつう私達が食するキュウリCucumis sativus L.は暗発芽種子ではありません。同じキュウリ属のCucumis anguria (bur cucumber:いがのあるキュウリの意、インド原産)は暗発芽種子として知られています。コマツナが光発芽種子であるという事は聞いた事がありません。レタスの種子が明暗どちらでも発芽しなかったのは、おそらく種子が死んでいたからでしょう。教科書ではレタスが光発芽種子であると書いてる事が多いのですが、これは正確な記述ではありません。ある品種のレタスと言った方が良いとおもいます。Grand Rpids という品種が一番有名です。同じレタスでも品種によっては光に関係なく発芽するものもあります。
暗発芽種子として一般にリストされている植物は、アザミ、カボチャ(どの品種か分かりません)、シクラメン、ヒナゲシ、ベニバナ、等があります。光発芽種子としては、カゼクサ、キンギョソウ、コリウス、セロリー、タバコ、ペチュニア等があります。
実験方法には問題はないとおもいますが、光発芽種子の場合は(特にレタスの場合は)、種子を浸水させてから直ちに光を遮断するように気おつけて下さい。吸水が始まるとすぐに光に反応を開始しますから。暗黒に保つにはポリエチレン・シートでペトリ皿をくるみ、その上をアルミフォイルでカバーすると簡単かもしれません。
登録番号2647の回答には実験方法やレタス品種のことなどが紹介してありますので、読んで下さい。また、登録番号1183、登録番号1912もちょっと難しいですがぜひ読んで下さい。
もし、また、疑問が生じたら質問して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2013-07-17
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