一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ジベレリンと窒素

質問者:   自営業   かしたけ
登録番号3216   登録日:2015-01-27
「植物ホルモンを生かす」という本のP64に植物体内の窒素含量が高まるとジベレリン含量が増大すると書かれておりました。
お伺いしたいのは「なぜ植物体内の窒素含量が高まるとジベレリン含量が増大するのか、またメカニズムはどのようになっているのか?」です。
よろしくおねがいたします。
かしたけ さん:

植物ホルモンの研究は21世紀に入って格段の進歩があり今なお日進月歩の状況です。30年ほど前の知見、知識の多くは間接的状況証拠のようなものに基づいたものも多く、現代の最新機器分析法による直接的調査の結果とは異なることが多くあります。ご質問については、植物ホルモン分析の専門家でもある理化学研究所 環境資源科学研究センターの榊原 均先生にお答えいただきました。残念ながら、ご質問にあるような記載内容は確認できないようです。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)

【榊原先生の回答】
窒素栄養がジベレリン内生量の増加を引き起こすという具体的な報告(文献)は、少なくとも私の知る範囲ではありません。
私たちはジベレリンを含む主要な植物ホルモンの内生量を定量解析できるシステムを持っておりますので、何回か窒素栄養条件を変えて生育させた植物の分析もしていますが、ジベレリンに関しては有意な違いはみられておりません。
窒素栄養と植物ホルモンの関係については、サイトカイニンの合成が富窒素栄養条件下で促進されることが知られています。また、根ではオーキシンの内生量が減少するという報告もあります。
サイトカイニンはシュート成長を促進する働きがあり、一方オーキシンは側根の成長など根系の発達を促進する作用がありますので、窒素栄養が十分な時には根よりもシュートの成長を促進させ、不十分な時にはその逆の応答をするという現象とよく対応しています。
理化学研究所環境資源科学研究センター
榊原 均
回答日:2015-01-30
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