一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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クロロフィルとアントシアンの抽出方法2

質問者:   高校生   堀ちゃん先輩
登録番号3267   登録日:2015-05-04
以前質問させていただいた者です。
前回の質問(登録番号3254)の回答で、
生体外に抽出された色素や色素の分解産物は光照射されると有害な光化学反応産物を生成することが多い
とのことでしたが、有害な光化学反射物質とはなんでしょうか?
教えていただけると幸いです。
堀ちゃん先輩 さん

前回のご質問では日焼け止めクリームとして植物色素を活用されるとのことだったので、回答文では色素の害作用について一般的なことを書きました。

色素分子は光(可視光)を吸収してエネルギー含量の高い励起状態になりますが、この状態は不安定で、続く発光や発熱の過程でエネルギーを放出して元の状態にもどる
か、または分子自身が変化する化学反応を引き起こします。ところで、生体内のクロロフィル(葉緑素)の場合は、色素分子がタンパク質と結合した状態で存在しており、光合成に使いきれない過剰なエネルギーの放出過程が上手に制御されているようです。このため、植物は強い日差しのもとでも日焼けをしないで安定な状態を保つことが出来ます。ところが、クロロフィルを有機溶媒中に抽出すると光に非常に敏感になり、短時間で退色して無色になってしまいます。化学反応を起こしているのです。
生体内でのクロロフィルの分解産物に「フェオフォービド(フェオフォーバイド)」と呼ばれる化合物があります。この物質は、クロロフィルに較べて安定ですが、体内に取り入れられると光過敏な皮膚症をおこすことがあるようです。「食餌性光過敏症」の原因物質の一つとして知られています(「クロレラ皮膚炎」などと呼ばれたのも、このようなことかと思います)。
以上、仔細についてはお答え出来ていませんが、回答とさせていただきます。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2015-05-07
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