一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉のつく位置によって成分は変わりますか?

質問者:   会社員   糖化に興味あり
登録番号3396   登録日:2015-11-18
お世話になります。
紅葉について、天の方と地の方とに分けると、天の方が紅葉が早いのは、受ける紫外線量の多さからと考えてよいでしょうか。
天の方と地の方とで、葉の成分は違いが出ますか?
仮に違いがあり、地の方にはミネラルが若干多く含まれるのであれば、それが抵抗力になっているということは考えられますか?
よろしくお願いいたします。
糖化に興味あり様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。回答が遅くなってご免なさい。質問のタイトルの意味と、内容が一寸分かり難いのですが、以下のような意味だと理解して回答いたします。すなわち、「紅葉が樹木の下部より上部の葉の方で早く起きるのは、上部の方が紫外線を多くうけるからなのか,それとも下部の葉の方が多くのミネラルを含んでいるので、そのため、葉緑素の分解が遅れ、アントシアニンの合成が抑えられからなのか」
紅葉の時期,温度や紫外線との関係等に関する質問は過去にも沢山ありますので、「紅葉」で検索なさっていくつかの関連する質問の回答を読んで下さい。そこから回答が得られると思います。登録番号3171, 1462,1074, 0388等は参考になるでしょう。
葉の色を決めるのは葉緑素(緑色)、カロテノイド(黄色)、アントシアニン(赤~紫)が含まれる割合です。葉緑素の分解が始まると葉緑素の存在で隠されていたカロテノイドの黄色が目立つ様になり、その後新しくアントシアニンが合成されて葉は赤色を帯びる事になります。葉緑素分解、アントシアニン合成それぞれ,低温と紫外線という環境要因の変化に関わっています。一本の木の全ての葉が全く同じ環境条件に曝されている事はありませんので、そこに紅葉現象の不均一性が見られるのは不思議ではありません。ご質問のよある上部と下部の葉の紅葉の不均一性は、上部の葉が下部の葉よりも多量の紫外線を受ける事だけによるかどうかはわかりません。その可能性はあるでしょう。他に温度の差、葉柄を通して行われる栄養分の供給の停止の時期などなどの要因も絡んでいるかもしれません。
ミネラルは葉緑素の合成に必要なので(N,Mg)葉への供給は当然葉の色に影響します。ミネラル一般の含有量が上部と下部の葉で異なるのかどうかを調べてた研究は一つだけ見つけましたが、それによると、ブナの場合、Mg、P、Cuは上部の方が多く,その他のミネラルには差がないと報告されています。おそらくミネラル含量の異なりが紅葉に影響するという事は無いと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2015-11-24
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