一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ミカヅキモとクンショウモの接合はできますか?

質問者:   小学生   ゆりねこ
登録番号3427   登録日:2016-02-03
今、理科の復習をしています。ミカヅキモとクンショウモの形が好きです。ミカヅキモとクンショウモを調べたら、無性と有性があることを知りました。ミカヅキモとクンショウモの有性どうしを接合できますか?
ゆりねこさん

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を京都大学の幡野恭子先生にお願いいたしましたところ、以下の様な詳しいご回答をお寄せ下さいました。幡野先生には分からないことがあったらまた質問するかも知れませんのでよろしくとお願いしてありますので、分からないことがあったら遠慮せずに、また聞いて下さい。

【幡野先生のご回答】
興味深いご質問をありがとうございます。ミカヅキモとクンショウモに注目していただき、嬉しく思います。
私はミカヅキモやクンショウモを実験室で育て、観察したことがあります。しかし残念ながら、実際にその2つの藻をまぜて接合するかどうか、やってみたことがありません。そこで、ミカヅキモとクンショウモ、それぞれの接合の様子を比べてみます。
ミカヅキモは、田んぼの水がなくなったり、寒くなったりして、まわりの環境が悪くなると、接合をはじめます。まず2つのミカヅキモが寄り添い、それぞれのミカヅキモの一部が突き出し(接合突起といいます)、その先端でつながります。そのつながったところに、両方のミカヅキモから中身が移動して、球形の接合子(せつごうし)と呼ばれる細胞ができます。接合子は乾燥や寒さに強く、まわりの環境が良くなると、1つの接合子から2つのミカヅキモが生じてきます。
クンショウモが接合する前には、クンショウモの1つ1つの細胞の中に、2本の鞭毛をもち水中を運動する小さい細胞が複数できます。それらの運動する細胞は、元々のクンショウモの細胞から外へ泳ぎだし、やがて2つずつくっついて、接合し、接合子という細胞になります。クンショウモの接合子も乾燥や寒さに強く、まわりの環境が良くなると、新しいクンショウモを作り出します。
ミカヅキモとクンショウモとで接合する直前の細胞を比べると、ミカヅキモの形と、2本の鞭毛を持って運動する小さな細胞とで、形や大きさがずいぶん違い、お互いに接合しにくそうです。また、ミカヅキモは夜のはじめに接合しますが、クンショウモでは未確認ながらたぶん朝に接合しますので、接合する時間帯が異なります。自然の状態では、ミカヅキモとクンショウモは接合できないと思います。大学の構内の池では、ミカヅキモとクンショウモが一緒にすんでいますが、お互いに接合したところを見たことはありません。
生き物をグループ分けすると、ミカヅキモはストレプト植物門、クンショウモは緑藻植物門という異なるグループに属しています。生き物は自分と同じ種類の新しい生き物を生産する性質があり、自然ではほとんどの場合、異なる生き物どうしが接合しないようになっています。

幡野 恭子(京都大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2016-02-14
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