一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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雌雄異株の木の実生は雄木が多い理由

質問者:   会社員   まこと
登録番号3474   登録日:2016-05-15
1960年代、俳優の中村是好氏等によって結成された趣味者の会で小さな盆栽をたのしむ者です。

先日、盆栽会の後輩から、「雌雄のある木の実生は何故雄木が生まれる確率が高いのか?」と聞かれ、答えられませんでした。
ロウヤ柿、青つづらふじ、梅もどき、真弓、蔓梅もどき…盆栽歴40年50年のベテランさんからも体験談として、実生からは雄木が多いという話をよく伺います。

厳格に雌雄の区別があるかどうかは置いておいても、実際雄花を咲かす木が多く生まれることは確かなようです。

これは植物のどのような仕組みによるもので、どんな利点があると考えられるでしょうか。
まこと 様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました」。頂いたご質問の回答を。九州大学の矢原徹一先生にお願いいたしましたところ、以下のような回答をお寄せ下さいました。のびのびと生育した樹木と、盆栽の樹齢に違いがあるのだろうかと、とても興味を覚えました。

【矢原先生からのご回答】
遺伝的に雌雄が決まっている雌雄異株の植物でも、雌株が若いときに雄花をつけることがしばしばあります。これは、マムシグサが雄株から雌株へと性転換をすることに類似した現象であり、雄花をつけるのは、種子をつくることにくらべてコストがかからないためと考えられます。

盆栽を育てていらっしゃる方が、「雌雄のある木の実生に雄木が生まれやすい」と経験的に感じていらっしゃるのは、若い雌木が雄花をつけている状態をご覧になっているのだろうと想像します。

 矢原 徹一(九州大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2016-05-25
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