一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

ひまわりの種と芽の数

質問者:   その他   イトウ
登録番号3476   登録日:2016-05-16
先日、4才の息子がひまわりの種を2個もらいました。一緒に蒔き、息子が水をやり、大事に育てました。しばらくして、順番に芽が出たのですが、結局6個の芽が出ました。息子も私もびっくりしています。2個の種から6個の芽が出ることがあるのでしょうか。教えて下さい。よろしくお願いします。
イトウ さん:

みんなの広場のご利用ありがとうございます。
ヒマワリ種子での多胚性の例を見つけることができませんでしたが、1つの種子内に複数の胚が生ずる多胚性種子は植物では決して珍しいことではありません。 特に柑橘類やマンゴー、観葉植物のパキラ、裸子植物などではよく知られている現象です。 ふつう種子の中には卵細胞と花粉由来の精細胞が融合(受精)した接合胚が1つありますが、多胚性種子では卵子がつくられる胚嚢を包む珠心細胞(体細胞 2n)が胚発生をはじめ不定胚に発達するものです。たとえば、2つの珠心細胞が不定胚形成を行うと、1つの接合胚と2個の不定胚ができることになり、3つの芽が発芽してくることになります。1つの種子から発芽した複数の幼植物の内、1つは受精卵由来、他は体細胞由来のクローンということなります。このような多胚現象はかなり多くの植物種におこるようですが、 実際には1つの接合胚のみが生き残って単胚種子になる場合も知られています。ヨーロッパアカマツも種子形成の初期では多胚性種子ですが、接合胚は不定胚に比べ弱いにも関わらず不定胚を特異的に殺して接合胚だけを残す仕組みがあると報告されています。 また、柑橘類の多胚性は遺伝的なもので品種によって決まっていることが明らかにされており、この多胚性を決める遺伝子(群)の同定も試みられているようです。珠心胚の発生は、無性胚発生ですのでその仕組みが明らかにされれば有用な形質を持った個体にこの無性胚発生能力を与えることで画期的な繁殖法を確立することができます。そのための研究も盛んに行われています。
一般に、多胚種子が発芽したとき幼植物は同じように成長しないで、個体間に強弱があったり、子葉の大きさが違ったりすることがふつうのようです。イトウさんのヒマワリの幼植物は如何ですか。長めに観察を続けてみてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2016-05-23
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内