一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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赤いオクラの色素はどこ?

質問者:   小学生   すず
登録番号3585   登録日:2016-08-28
私は去年、赤いオクラを食べました。その時は普通のオクラだと思っていました。いつも食べる緑色だったからです。今年お母さんと一緒に赤いオクラを茹でたら茹で汁は黒っぽい青い色になり、やっぱり緑色のオクラになりました。赤い色はどこにいったのですか?
すず 様

ご質問ありがとうございます。植物の色素化学を研究されている吉田久美先生(名古屋大学)に答えていただきました。

【吉田先生の回答】
赤紫色のオクラの色素はアントシアニン呼ばれるもので、赤いバラやリンゴ、 イチゴ、ナス、ブドウなどの皮の色素も同じ仲間です。
一般的にアントシアニンは熱には不安定なため、加熱すると色が変化したり、消えたりします。中には、熱に安定な色素もあり、紫サツマイモなどは、蒸しても色が残ります。この違いは、色素の化学構造と、色素がどのような状態で植物の細胞の中に存在するかによります。
オクラの場合は、アントシアニンが比較的小さい分子で、しかも濃度が薄いため、ゆでると色素の分解により無色となります。一方、葉緑素(クロロフィル)の緑色は残るため、全体として緑色に見えます。
紫色のサヤインゲンも、ゆでると緑色になりますが、同じ仕組みです。サツマイモのアントシアニンは、大きな分子で、しかもデンプンに吸着しているため、安定になっていて加熱しても色素が壊れずに色が残るものと考えています。 
なお、茹で汁が黒っぽい青い色になったことの説明としては、いろいろな可能性が考えられます。実際にゆで汁を見ないと分かりませんが、多分、葉緑素を結合したタンパク質が若干溶け出したもの、アントシアニンが溶けて分解、または酸化された色素などの混合物ではないかと思います。

 吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2017-03-02
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