一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

根粒菌の感染について

質問者:   教員   みー
登録番号3591   登録日:2016-08-31
根粒菌がマメ科植物に感染する際の模式図には,1個体の細菌がとりこまれる様子が描かれている場合が多いですが,それについてお教えいただければ幸いです。
1根粒中の根粒菌は,感染した1個体由来のクローン集団なのでしょうか。それとも,まとめて取り込まれた複数の細菌由来の集団なのでしょうか。
みー 様

ご質問ありがとうございます。根粒菌の植物共生について研究されている筑波大学の壽崎拓哉先生に回答をお願いしました。

【壽崎先生の回答】
次のような実験があります。遺伝子組換え技術を利用して2種類の蛍光タンパク質を導入した根粒菌がつくられました。緑色に光る根粒菌と赤色に光る根粒菌を2種類混ぜて植物に感染させて、形成された根粒を観察してみると、1つの根粒の中に緑色と赤色両方の蛍光がみられました。このことから、根粒の中には異なる種類の根粒菌が共存しているということがわかりました。というわけで、ご質問の答えは、1根粒中の根粒菌は、まとめて取り込まれた複数の根粒菌由来の集団、ということになります。実際のところ、自然界では、根粒の中には、窒素固定を行って窒素源を植物に供給してくれる優良根粒菌だけでなく、窒素固定能力をもたないのに根粒の中に棲みついて植物から炭素源の恩恵をうける、所謂"ぼったくり菌"という根粒菌も存在しているようで、根粒の中は複数の根粒菌のヘテロな集団によって構成されているといわれています。

 壽崎 拓哉(筑波大学遺伝子実験センター)

出村 拓(JSPP広報委員長)
                 
回答日:2017-03-08
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内