一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物細胞の生まれ方について

質問者:   中学生   じゅんこ
登録番号3612   登録日:2016-10-03
学校で細胞についての勉強をしています。
動物細胞は卵子と精子が融合して受精卵という細胞になり、その分裂で動物が育つと学びました。
植物細胞ではどうでしょうか?
じゅんこ さん: 

みんなの広場のご利用ありがとうございます。
ここでは「花の咲く植物」について述べます。コケ類とかシダ類、マツ、イチョウなどの裸子植物でも本質的には同じですが少しばかり状況が違いますのでまたの機会にします。花には雌しべと雄しべがあるのはご存じですね。種によっては雌しべ、雄しべが退化して雄花、雌花と分かれている場合もあります。雌しべの下部はとっくり状に膨らんでいて子房と呼ばれていますね。この子房のなかに植物の卵細胞ができます。一方、雄しべの先端には花粉が作られます。花粉はちょっと複雑な構造ですが、花粉のなかに雄性細胞と言う細胞があることだけを知っておいてください。花粉が雌しべの頭(柱頭)につくと(受粉)発芽して花粉管をだし、雌しべのなか(花柱)を子房に向かって伸びていきます。花粉のなかの雄性細胞は花粉管に移動して1回分裂し、その1つが精細胞となります。これが動物の精子と同じものです。裸子植物では精細胞に尻尾ができて動物の精子と同じように泳ぐことができるものがあります。花粉管が卵細胞の近くまで達すると、先端が破れて精細胞が飛び出し、卵細胞と融合して受精卵となります。これは動物とほぼおなじです。受精卵が分裂しながら形作りをするのですがそのでき方は植物、動物で全く違います。植物の受精卵が植物細胞を、動物の受精卵が動物細胞を作るのは働く遺伝子の種類が違うからと考えてよいでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-03-06
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