一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ランの根

質問者:   一般   月橘
登録番号3660   登録日:2016-12-23
着生植物として有名なランですが
どんな原理で木等に根を貼り付けてるのでしょうか
月橘 さま

ご質問、どうもありがとうございます。寄生植物研究をご専門とされている奈良先端科学技術大学院大学の吉田聡子先生にご回答いただきました。

【吉田先生の回答】
着生ランは気根(または着生根)と呼ばれる根を出して、樹木に張り付いて着生します。着生根の根冠が支持体に触れると、根毛が発達し樹木や支持体の凹凸の中に入り込むことによって付着します。ランの着生根には根被(Velamen)と呼ばれるスポンジ状の層があり、栄養吸収やUV障害から身を守る役割をしています。この根被は死細胞によってできているため、根被が十分発達しておらず、生きている細胞層が外側にある根冠は根毛を発達させることができますが、根被が発達し、死細胞に囲まれた着生根(灰白色に見える部分です)は新たに樹木に貼りつくことはできないようです。

*補足
ラン専門家の国立科学博物館の遊川知久先生に伺ったところ、根毛は基物に接する側だけで形成され樹皮の中に入り込むことが観察されるため、張り付くことに機能があると考えられるが、すべてのラン科植物が根毛を形成するわけではないそうです。そのため、根冠または表皮細胞自体も何らかの張り付く役割を持っていると推定されます。しかし、糊状の物質を分泌しているかどうかなど、その機能についてきちんと検証した研究はなさそうです。

吉田 聡子(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-02-23
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