一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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大豆は、でんぷんを含まないんですか?

質問者:   中学生   かのん
登録番号3692   登録日:2017-02-22
今、理科の授業で消化酵素のことについて勉強していて、先日、それについての実験があり、その実験結果について、疑問を持ったので、今回質問させていただきました。
生の大豆と煮た大豆を半分に切って、でんぷんを含んだ、寒天の上にのせ、一晩おいて、生の大豆と煮た大豆を寒天の上から取り除き、取り除いた部分に、糖検出紙を差し込み、糖の有無を確認し、その後、ヨウ素液をかけてでんぷんの有無を確認するという実験です。その結果が、煮た大豆について、でんぷんが検出されたんですけど、反応が薄かったです。その原因っていうのは、大豆が元から含んでるでんぷんの量が少ないからであっているんでしょうか??
長々とごめんなさい。
かのん さん

ご質問をありがとうございます。

回答:
 くわしく書いて下さったので、どんな実験をされたかがよくわかりました。
 ダイズの種子にはアミラーゼという酵素があります。アミラーゼはでんぷん(グルコースという糖がたくさんつながってできています)を分解してグルコースが2つとか少数つながった糖にまで分解するはたらきがあります。ですから、でんぷんを含んだ寒天の上に、半分に切った生のダイズの種子をおくと、その場所では寒天の中のでんぷんが分解されて、小さくなった糖が生じます。でんぷんが分解されてなくなりますから、でんぷんを検出するためのヨウ素液をかけてもヨウ素でんぷん反応の発色は見られず、小さくなった糖を検出する糖検出紙では反応がでることが予想されます。
 多くの酵素(アミラーゼを含めて)は熱に弱く、熱をかけるとはたらきが失われます。ですから、煮たダイズ種子では、アミラーゼはでんぷんを分解するはたらきを失います。したがって、煮たダイズを置いた場所の寒天内のでんぷんは分解されず残ります(ヨウ素でんぷん反応がおきます)。また、小さくなった糖はできない(糖検出紙による反応はおきない)ことが予想されます。実験をやってみて予想されたような結果が得られたでしょうか?
 ここからが質問内容かと思いますが、煮たダイズ種子を置いた場所ではヨウ素でんぷん反応がおきるはずと思っていたが、反応が弱かったのでその理由を知りたいということですね。
反応が弱いということですが、何に比べて弱いのでしょうか?
 何も置かなかった場所と同じくらい反応が弱いということでしたら、ヨウ素液が薄すぎる、あるいは濃すぎる(濃すぎても発色がきれいでないことがあります)または、寒天内のでんぷん濃度が薄すぎるという可能性もあると思います。
 次に何も置かなかった場所とくらべて反応が弱いということでしたら、煮たダイズから色のついた物質が出てヨウ素でんぷん反応の色を見えにくくしている可能性や、ヨウ素でんぷん反応を妨げる物質がでている可能性も考えられますが、検討してみないとわかりません。
 ダイズの種子にはタンパク質や脂質が多く含まれていますが、でんぷんはほとんど含まれていません。しかし、この実験では、寒天の中にでんぷんがたくさん入っており、そのでんぷんの分解が起きるかどうかをみているわけですから、反応が弱いこととダイズ種子中のでんぷんが少ないこととは関係ありません。
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-02-27
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