一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉面散布剤の吸収と効果について

質問者:   自営業   ぷくぷく
登録番号3694   登録日:2017-02-24
こちらで気孔について読んでいたところ、
葉が濡れても気孔は閉じないが、水滴で気孔をふさいでしまう…という記述がありました。

それであれば葉面散布剤は吸収されていないのか?
霧のように水滴が小さければ吸収されるものなのか。
吸収されていればどの位、どの程度の効果なのかと疑問に思いました。

ぶくぶく様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。葉面にかけた葉面散布剤が葉の中の細胞に届くかどうか、と言う質問を水の移動に関する質問と理解して回答します。水の移動に関わっている物は三つあります。圧、浸透現象、毛管現象です。高い圧の場所から低い圧の場所に水が移動することは分かりやすいと思います。濃度の高い溶液と低い溶液を水だけを通す膜の両側に置くと、水は低い溶液から高い溶液のほうに移動します。これが浸透現象ですが、植物の細胞はそのような膜で覆われていますので、細胞の外から細胞の中への水の移動には浸透現象が働きます。濡れた顔をタオルで拭くと水は顔からタオルへと移動します。これが毛管現象による水の移動ですが、葉面散布剤の葉の中への移動には関係していないので、ここでは圧と溶液の濃度だけが問題です。葉の中の細胞の圧が高いと、細胞は水の侵入を拒みますし、細胞内の水の濃度が低いと水は外から細胞内に入り難いですが、昼間,水は気孔を通して外気へと移動しますので、葉の中の細胞の水分は時間とともに減少し,細胞の圧は低下し、細胞内の液の濃度は上がります。と言うことで、時間とともに外から水(それと一緒に葉面散布剤)は細胞内に入りやすくなるのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2017-02-27
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