一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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インゲンマメの成長に必要な光量

質問者:   公務員   mukku
登録番号3697   登録日:2017-02-27
昨年度の全国学力学習状況調査小学校理科の問題で、4つある畑に2クラスでインゲンマメとヒマワリをそれぞれ植えるときに、畑をどのように使うかという問題が出ました。解答としては両方の植物の背丈の成長と組み合わせて考えて、南側から順に1組のインゲンマメ、2組のインゲンマメ、1組のヒマワリ、2組のヒマワリで、ヒマワリの日陰にインゲンマメができる限り入らないようにして両方が育つようにするという理由を答えるものですが、子どもたちが答えた誤答の、南からヒマワリ、インゲンマメ、ヒマワリ、インゲンマメとその理由を見ていて、インゲンマメの光量がそんなに必要でないのであればヒマワリの陰に入る時間が昼に多くなっても、朝晩に東と西から斜めから入れば大丈夫で、かえってヒマワリの育ちはよいのではと思ってしまいました。問題は光の当たり方を聞いていて光の量と成長の関係は聞いていないのですが、インゲンマメの成長にどのくらいの光量が必要なのでしょうか?
mukku 様

小学校のレベルですから、両者の背丈を考えて、模範解答でよいと思います。ヒマワリを2列植えると北側に植えたものの収穫量が多少落ちる可能性も無くはないが、食用種子用のヒマワリが一面に植えられた外国の畑の画像を見ると、その影響はそれほど大きくないでしょう。
問題は、インゲンマメをヒマワリの北側においたときどの程度の悪影響があるかです。インゲンマメにはつるなし、つる性のものがあり、結果もいろいろでしょう。この問題について千葉県農林総合研究センターの香川晴彦室長に教えていただきましたので、一例として紹介します。
香川室長が行った、つる性のタイプについての試験結果(未公開):
遮光率を0%、30%、45%、55%、85%とした区で栽培した結果、遮光率30%区では、遮光しない(遮光率0%)区に比べてほとんど収量の低下は見られず(3%程度)、遮光率45%以上の区で明らかな収量の低下が見られた(遮光率45%区で収量20%減、遮光率85%区で収量52%減)とのことです。
香川室長のコメント: 学校の校内菜園ではどちらのタイプを植えられているかわかりませんが、狭い面積でも栽培可能な矮性タイプの場合は、ひまわりの遮光により、更に大きな収量低下が見られるのではと考えられます。

櫻井の結論:
インゲンマメのつる性と矮性、ヒマワリの背丈、植える密度等、考えたらきりがありませんが、常識的に考えて、模範解答でよいと思います。
(付記:香川先生の研究についての情報は、大川安信博士(国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST主任調査員))に教えていただきました)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博 
回答日:2017-03-06
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