一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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菌根菌と共生している食虫植物は存在するのですか?

質問者:   その他   そる
登録番号3710   登録日:2017-03-17
一部の例外を除いて殆どの陸上植物は菌根菌と共生しているとよく聞きますが、
土壌の養分にあまり依存しない食虫植物に菌根菌と共生している種類は存在するのですか?。
また、サラセニアはツツジ科固有の菌根菌と共生できるのですか?
そる様

ご質問をありがとうございます。
基礎生物研究所の川口正代司先生に推薦して頂いた、菌根菌に詳しい横山 潤先生に回答をお願い致しました。

【横山先生のご回答】
下記、基本的に食虫植物は無菌根とされています(Adlassnig et al. 2005, Plant and Soil 274: 127-140, ただしRoridulaだけはAM菌と共生しているとしています。Brundrett 2009, Plant and Soil 320: 37-77, Table 2,この表ではRoridulaも無菌根としています)。ですので、食虫植物は、陸上植物の中で数少ない「例外」の一つと言えると思います。ただ、Drosera(モウセンゴケ)属ではAM菌が根に入っているとする論文が複数あり(Fuchs & Haselwandter 2004, Mycorrhiza 14: 227-281; Quilliam & Jones 2010, Mycorrhiza 20: 341-348; Harikumar 2013, Botanica Serbica 37: 13-19)、検証が必要と思われます。

サラセニアが菌根共生を行っているといる文献は見当たりません。ご質問された方は、サラセニアが最近のAPG体系ではツツジ目に含められ、比較的ツツジ科に近い系統にあることを念頭に置いていらっしゃるのだろうと思われますが、ツツジ科植物に菌根を作る菌が、サラセニアに菌根を作ることはないと思われます。

 横山 潤(山形大学理学部生物学科)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-03-25
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