一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トマトの脇芽について

質問者:   大学生   しすてむ
登録番号3755   登録日:2017-05-18
トマトの脇芽について質問します。

トマトを栽培する場合、脇芽かきという作業が必要になると思いますが、そもそも脇芽が出てこないように芽止めすることができないかと考えています。

そこで、トマトの脇芽の生えてきやすい主茎と枝との境目に部分的に熱を加えてみたところ脇芽は生えてきませんでした。

これは、熱がどのようにトマトに影響を与えたと考えられますか?
回答よろしくお願いします。


ちなみに実験の方法は 

90℃のお湯をしみこませたスポンジで脇の部分を挟み込
み、三日放置した後スポンジを外す 

というものです。
しすてむ 様

 ご質問をありがとうございます。
 茎の先端にある半球状の分裂組織(頂端分裂組織)は、細胞分裂した細胞の一部をつみのこしながら分裂を続け、分裂組織を維持します。積み残された細胞群からは葉の原基が形成されますが、その原基がある程度発達した幼葉の基部には、将来腋芽に発達する新しい細胞塊(腋芽の原基)がつくられます。腋芽の原基は、茎と幼葉の接続部の上側に形成されますので、幼葉が葉に発達した場合、茎と葉の結合部の上側に腋芽の原基が必ず存在することになります。
 実験では、茎と葉の結合部の上側に90℃のお湯を含んだスポンジを挟み込まれたとのことですから、腋芽が伸びてこなかったことは、腋芽の原基が高温にさらされたことにより、原基の細胞が熱で損傷を受けたためと思われます。高温は、脂質膜の流動性を変化させ、細胞膜など生体膜の構造や機能に障害をひきおこしたり、たんぱく質を変性させたりすることなどで細胞に損傷を与えると考えられます。 
 質問内容では、「茎と枝の間に」とありますが、枝は腋芽が伸びたものですので、すでに腋芽が伸びてしまっていることになってしまいます。したがって、回答では、「茎と葉の結合部の上側に」ではないかと推定して回答しております。ご了承下さい。また、「脇芽」には学術用語の「腋芽」を用いました。

 なお、腋芽(側芽)の形成と伸長に関しては、植物Q&Aの登録番号0700 でサイエンスアドバイザーの今関先生が、登録番号1025 でサイエンスアドバイザーの勝見先生が詳しく解説されておられますので参考になさって下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-05-29
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