一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ホウセンカの根は,ひげ根?

質問者:   教員   中学校理科教諭 OchaHoshi
登録番号3757   登録日:2017-05-19
小中学校の理科授業では,ホウセンカがよく扱われます.また,中学校では,単子葉類と双子葉類の形体的な特徴を整理します.

ところが,双子葉類であるホウセンカの根を観察すると,単子葉類のひげ根のように見えます.主根・側根が複数あるようにも見えますが,それも奇妙です.主根が極短く,側根がひげ根のように見えるのでしょうか.

ホウセンカの根の形態は,どのように捉えたら良いのでしょう.
中学校理科教諭 OchaHoshi さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
まず、端的にお答えするとホウセンカの根は主根系で、ひげ根ではありません。植物の根はたくさんの枝分かれをして養分の吸収面積を大きくするとともに土壌にしっかりと食い込んで地上部を支えるよう全体として大きな塊、根系を形成します。根系には基本的に2つの型があります。主根系(Taproot System)とひげ根系(FibrousRoot System)でひげ根系は単子葉類とシダ類に特徴的な根系、主根系は双子葉類に見られるものです。違いは、主根系は種子根がそのまま土壌中に成長し、主根から側根がたくさん形成され、側根はさらに枝分かれして二次側根、三次側根を出して形成された根系で、ひげ根系は茎から土壌表層に広がるように発生し、側根を枝分かれしてできあがる根系です。いわばひげ根は不定根(根以外―茎や葉―から出る根)です。イネやトウモロコシでは冠根と呼ばれています。筍の下部を見ると短い節間の節要素が重なっていて数段の節間の周囲に根が顔を出しているのが見られます。単子葉類にも種子根があり、発芽初期はそれなりの働きがありますが、まもなく機能を失います。双子葉類では種子根が成長を続けて主根となり側根を形成しながら地中に伸張します。主根が地中深くまで伸張するもの、比較的短いところで伸張が止まるものなど種や品種によっていろいろあります。ホウセンカの主根は比較的短いほうで、それから側根がたくさん形成されるので一見、ひげ根のように見えるものです。主根は種子根が成長したものですから茎に直結していて複数あることはありません。初期に形成された側根はかなり太くなるので主根のように見えるのかもしれません。


JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-05-25
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