一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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シロツメクサの突然変異について

質問者:   中学生   花子
登録番号3763   登録日:2017-05-23
こんにちは。
四つ葉のクローバーを作る研究を趣味でしている者です。
研究を進めている途中で疑問に思い本やインターネットで調べてみたのですがどうしても答えに辿り着けず、このページを利用させていただくことにしました。

シロツメクサは突然変異で四つ葉をつけると聞いたことがあるのですが、突然変異を故意に起こすことはできるのでしょうか?

また、踏むとできる四つ葉のクローバーを遺伝させようとしたところ、代が進むにつれて四つ葉は減っていきました。
突然変異の四つ葉は遺伝させることができるのでしょうか?

花子さん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。歩いていてふと四つ葉のクローバーが目に止まるとなんとなく嬉しいですね。四つ葉のクローバーは様々な意味の象徴に使われていますが、アルファ・ロメオのエンムレムやイタリア空軍の紋章などにも使われていますね。
 さて、四つ葉のクローバーを突然変異で作って、多量に栽培生産したい願っておられるようにお見受けします。本コーナーでも過去に関連する質問が多数あり、それぞれ詳しい回答が掲載されていますので、是非そちらを読んでください。登録番号2923, 2100, 064, 1225またクローバーの交配による繁殖については登録番号2433, 2089 などを参考にしてください。これらを読むとほぼご質問の疑問は解かれると思います。
ここでは簡単にお答えしておきます。
 すべての生物で突然変異を人為的に起こすことは可能です。ただ、遺伝子組換えの技術を用いない限り、特定の変異だけ、例えば四つ葉のクローバーとかをターゲットにして人為的突然変異を誘導することはできません。突然変異は遺伝子(DNAやDNAの蔵われている染色体)に異常(変化)が起きることによって生じます。人為突然変異は放射線、X線、紫外線などの電磁波や各種の薬品で起こすことができます。実際園芸や作物で新しい品種の作出に利用されています。例えば、沢山んの種子にγ線を照射して、それらが発芽して成長してくるものの中から目的にかなった個体を選抜し、育てて種子をつくらせ世代を重ねて固定化させなければなりません。その点では遺伝子組換えは早いですね。
 四つ葉のクローバーが機械的な原因で生じたものであれば多分遺伝しないでしょうし、同じ株の地下茎からの個体が四つ葉であることはないでしょう。もし、他の個体も四つ葉であれば、突然変異で生じたものと考えてよいでしょう。それらはクローンだからです。問題はこの株から得られる種子です。クローバーの花は他家受粉で種子を作りますので、自然状態では三つ葉のクローバーの花粉で受精する頻度が高いと思います。四つ葉の突然変異遺伝子が優性遺伝子(メンデルの遺伝の法則で調べてください)かどうか分かりませんが、四つ葉の種子だけを得ることは容易ではないと思います。
ご質問の中の「踏むとできる四つ葉のクローバーを遺伝させようとしたが、代が進むにつれてーーーー」ということは、その株から種子を採って増やしたいうことでしょうか。もしそうだとしたら、その場合は機械的な原因で四つ葉になった性質が遺伝したということで、興味ある現象ですね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-05-27
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