一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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単子葉類の根と茎の関係

質問者:   中学生   ゆっぱ
登録番号3783   登録日:2017-06-09
単子葉類の根の数と茎にある維管束の数は同じなのでしょうか。
ゆっぱ さま

ご質問ありがとうございます。植物形態の研究をご専門とされている日本女子大学の今市涼子先生に回答していただきました。

【今市先生の回答】
単子葉植物では、双子葉植物の場合と異なって、胚に作られた幼根はあまり成長せず、胚から成長した茎の節(葉の付け根)に作られた不定根が根として発達します。単子葉植物の茎の横断面では、木部と師部がセットになった維管束が多数存在しており、不整中心柱を作っています。不整中心柱を作る維管束は、茎の横断面では1本ずつばらばらにみえますが、実際には維管束は分枝を繰り返しながら茎の中を縦走しており、個々が完全に独立しているわけではありません。したがって、茎の維管束の数と言ったとき、どの部分の数をさすのか難しい事になります。しかしご質問の「茎にある維管束の数」は、不定根が形成される節部の横断面に存在する維管束の数をさす、として考えてみます。茎の維管束と不定根の発生との関係は植物によっては大変複雑です。例えば、イネの茎の節部では、中心に大型の維管束群が存在し、それを取り囲むように小型維管束群が存在し、周辺部で環状をなしています。不定根は、これら周辺部の小型維管束群から原基として発生します。したがって茎の維管束数と根の数との関係についての詳細な報告はないとしても、少なくとも節部では茎にある維管束の数の方が根の数よりは多そうですので、維管束の数と根の数は同じではないといえそうです。熊沢正夫著「植物器官学」によれば、トウモロコシでは、幼根は残したまま、すぐ上の茎の節から不定根が形成され、その数は、1節から9節まで3,3,3,5,7,7,11,13,17本と増加するとあります。上部にいくほど茎も太くなりますから、上部の節ほど中の維管束も分枝して本数が増加していると推察されます。本書には、茎の維管束の数と根の数の関係についての記述はありませんが、イネより単純な構造ですので、調べるとわかるかもしれません。

 今市 涼子(日本女子大学理学部)
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-07-04
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