一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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赤から白へと花色が変化していく理由

質問者:   一般   スズキ
登録番号3785   登録日:2017-06-11
ズミの場合です。
赤かった蕾が膨らみかけるや否やピンク、またはサーモンピンクに、そして開花後には白くなっています。
アントシアニンが何かの理由で抜けていってしまうのでしょうか?

白から色づいていくタイプの説明はよく目にしますが、その逆の場合の理由を知ることができずにいるので、ぜひ、お教えいただけますよう、よろしくお願いいたします。
スズキ様

みんなのひろばへのご質問ありがとうがざいました。頂いたご質問の解答を花の色素の研究がご専門の名古屋大学の吉田久美先生にお願いいたしましたところ、以下の様なご回答をお寄せ下さいましたので、お送りします。

【吉田先生のご回答】
ご質問ありがとうございます。
時間が経つにつれて、色の変わる花は色々あり、皆さん、興味を持っておいでのようです。
研究者も同様です。
残念ながら、ズミを実際に見たことがなく、写真のデータでしかお答えできませんが、下記のことが考えられると思います。
きちんと分析しないと、わからないのですが多分、色合いからつぼみの色素はアントシアニンだとは思います。

(1)色素が開くとともに色素が分解する。
例えば、新芽の赤い植物が色々あります。クロロフィルができるまで、幼若な芽を紫外線から護るためではないかとも言われています。この場合、成長してクロロフィルができてくるとアントシアニンは分解されて、無くなっていきます。
同様のことが、花弁で起きている可能性があります。

(2)色素が薄まって、白く見える。
花が開く時には、細胞に水が入って大きくなる「伸長成長」という現象が起きます。
これに対して、細胞分裂が起きて組織が大きくなる現象もあります。
通常、アントシアニンの生合成はつぼみの時には終わっており、そのあとは、量は代わりません。
細胞が大きくなる際の最も大きくなる細胞内組織は液胞で、アントシアニンは液胞にありますから、だんだんと濃度が薄くなります。そのために白っぽく見える場合があります。
桜も蕾は比較的ピンク色に見えますが、満開の時には、白く見えます。これがそうです。

 吉田 久美(名古屋大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2017-06-17
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