一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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市販のカイワレ大根と光屈性

質問者:   高校生   水野
登録番号3843   登録日:2017-08-04
自宅で種から栽培し、播種後5日程度のカイワレ大根に青色LEDを一方向から3時間照射すると、光屈性の反応が表れました。
しかし、市販のカイワレ大根で同じ実験を行っても、光屈性の反応が表れませんでした。どうしてでしょうか。

ちなみに前者の方が後者よりも背丈が小さかったのですが、なにか関係があるのでしょうか。
水野さん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。光屈性や重力屈性という現象は、茎や根という軸器官の左右あるいは表裏の側でそれぞれの成長に差が生じることが直接の原因ですね。つまり、光屈性の場合は光の方向と反対側になる茎の部分の成長が、光の当たる側に比べて相対的に大きくなるから起きる現象です。このように屈性現象は、成長反応です。
実験に使用されたカイワレダイコンの芽生えの地上部は、子葉(ふた葉)とその下の胚軸(茎)と胚軸の先端、つまり子葉のつけ根にある幼芽からなっています。多くの植物では、まず胚軸が成長(伸長)してから幼芽が成長を開始します。
これでだいたい想像できると思いますが、もし、胚軸の成長が終わっていたら、胚軸の光屈性は見られないでしょう。栽培業者が収穫して、出荷し、店頭に並べられている間にも胚軸の成長は進みます。マーケットで買ってこられたカイワレダイコンは背丈が高かったということですので、これらの胚軸はすでに成長が終わっていた可能性があります。実験材料に市販のものを用いる場合もありますが、実験の前に使う材料の性質や状態をしっかりと把握しておくことは大切なことです。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-08-08
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