一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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種のデンプンのヨウ素反応がない

質問者:   小学生   エミリー
登録番号3864   登録日:2017-08-19
夏休みの自由研究で、家庭で手に入る種からデンプンを取ってみようと考えました。
6年生の理科の教科書の、ジャガイモの葉からのデンプンを取るやり方(潰して水と混ぜてろ紙で漉し、ろ液の沈殿に含まれるデンプンをヨウ素反応させる)で実験しました。
米からは取れましたが、カボチャ、ゴマ、スイカ、ピーマン、アサガオからはデンプンが取れませんでした。カボチャ、スイカの種に直接ヨウ素をかけたところ、少し反応しました。

日本植物生理学会さんのホームページのQ&Aを調べたところ、
・脂肪やたんぱく質が多いとヨウ素反応しにくい(登録番号2739
・カキの種は、細胞壁に蓄えていてヨウ素反応しにくい(登録番号1774
・酵素などがヨウ素反応を邪魔する(登録番号2733, 3692
などいくつかの理由があることが判りました。

カボチャ、ゴマ、スイカ、ピーマン、アサガオの種から上手くヨウ素反応を見られなかった理由は、何なのでしょうか?
エミリー さん

このコーナーをご利用くださりありがとうございます。

質問文に「種(種子)からデンプンを取ってみようと考えました」と書かれているので、デンプンを純粋または純粋に近い状態で(少なくともデンプンに富んだ画分として)取りだそうとしておられるものと理解します。想像するに、方法としては、硬い種子を木槌で叩きつぶすか、すり鉢で砕くことなどの操作により粉末のような状態にし、この粉末と水を激しく攪拌して得られる濁った液を適当なメッシュのろ紙でろ濾し、ろ過液を静かに放置することにより得られる沈殿物としてデンプンに富んだ画分が得られると言うわけですね。

さて、この方法を用いた実験の結果は、カボチャ、ゴマ、スイカ、ピーマン、アサガオの種子からは上手くヨウ素反応を見られなかったとのことですね。そこで質問ですが、これらの材料では期待される沈殿物は得られたのでしょうか? もし、沈殿物は得られるがヨウ素の反応が見られなかったのであれば、先ずは「沈殿物中に含まれるデンプンの量が少ない」との結論になりますね。ただし、懸念されることは、(1)この実験で、種子の中に含まれていたデンプンが上手く沈殿物として回収されているのかどうか、(2)沈殿物中に含まれる他の物質がデンプンとヨウ素との反応を妨害しているのではないかの二点です。実験には水による洗浄などの操作が含まれているので妨害物はある程度までは取り除かれていると思いますが、ゴマのように脂肪の多い種子などの場合にはヨウ素液とデンプンとの反応が妨害されている可能性はのこります。

もし、種子にに含まれるデンプンを検出することで満足されるのであれば、(1)鋭いナイフによる種子の切断面、(2)上に記したような方法で得られる種子の粉末、(3)種子を煮て、中身をのり状につぶしたものなどについて、ヨウ素液を直接ふりかけることによっても、含まれるデンプンの量を大まかに推定できるかも知れません。

なお、分析には十分に成熟した種子を使われていると思いますが、成長段階の違いや種子の部分によって含まれる成分に大きな違いがあることを気にしておいてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2017-08-22
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