一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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花びらの外側が染まりやすい理由について

質問者:   小学生   ルル
登録番号3872   登録日:2017-08-22
こんにちは。
夏休みに花びらを染める実験をしました。
ガーベラ・カーネーション・バラ・千日紅・ひまわり・菊を染めました。
ガーベラとひまわりは花の中心が染まり始めると、そのまま中心から染まり続けるのではなく、花びらの水が通る線に色がついた後に、花びらのふちの方が濃く色が付きました。
カーネーションは花びらの外側より少し内側が濃く色がつき、バラは花びらのふちが濃く色がつきました。
なぜ、茎から近い花の中心から染まるのではなく、花びらのふちや外側の方が色が濃く染まるのでしょうか。
花びらは水をすう時に花びらの外側から水をためるのでしょうか。
図書館で本を探しましたが、くわしく書いてある本が見つかりませんでした。
教えて下さい。
ルル様

みんなのひろばの植物Q&Aへのご質問をありがとうございます。

回答:
 花びら(花弁)に色素を溶かした水(色素水)を与え、花弁のどの部分が良く染まるか、時間を追って調べた実験でおもしろいことを観察しましたね。

 まず花弁の付け根(基部)から、水の通り道にそってそまったということですから、これは色素水が水の通り道を通って移動したということですね(水の通り道と言っておられる線状のものは維管束というものです。維管束の中には道管という細い管が何本も集まっている部分があります。水は道管の中を移動します。ここでは質問内容で使っておられる「水の通り道」ということばを使って説明することにします。)

 植物によっていろいろですが、多くの場合一番太い水の通り道(主脈)は花弁の先端にむかって走っています。途中枝分かれをしますが、枝分かれした枝はさらに枝分かれをくりかえし、枝分かれをくりかえすにしたがって細くなっていきます。主脈から最初に枝分かれした水の通り道は花弁の側方に向って伸びていることが多いと思います。水の通り道の道管の管は水を通しにくい物質で作られていますので、水の通り道の周辺に色素がしみだして染まることはありません。

 色素水は水の通り道の先端から細胞に入りますので、そこに色素水が集まります。水の通り道の太さが太いほど、その先端近くの細胞にたくさんの色素水が集まることになりますので、花弁の先端や側方に色素水が集まります。色素水のうち、色素は細胞を染めて細胞内に残りますが、水は表皮や花弁のふちにある水を排出する穴(気孔あるいは水孔)から水蒸気になって出ていきますので、色素は濃縮されて花弁の先端や側方の細胞が濃く染まることになります。また、水の通り道では、色素水が細胞から細胞へ移動するよりはるかに速く移動しますので、花弁の先端や側方がはやくそまるのだと思います。

 それぞれの植物の花弁で、水の通り道の走りかたとその先端部分の染まり方の関係を観察してみて下さい。
 
 質問内容を見て、どんな色素を用いて、どのようにして色素水を吸わせる実験をしたかわかりませんでした。実検の報告を書くときには実験に使った色素や実験のしかたをきちんと書くようにしましょうね。
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-08-25
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