一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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稲や野菜等への海水の影響について

質問者:   自営業   yc
登録番号3879   登録日:2017-08-25
台風などで田畑が海水をかぶると稲や野菜等に被害が出ます。片方で海水を利用した栽培も雑誌などには紹介されています。
量の問題でしょうが作物に弊害をもたらすのは海水の主成分のうち塩素でしょうか、ナトリウムでしょうか。
そのメカニズムも教えてください。
yc さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

海水の主成分は塩化ナトリウムNaClですがその他の塩化塩、硫酸塩が含まれ総塩類が3.4%で、そのうち約78%がNaClとされています。研究で塩の影響を調べる場合には殆どの場合NaClを使用します。NaClだけではNaとClの量比を変えることは出来ませんので、それぞれの効果を調べることは大変むずかしく、厳密な比較はなされていませんが、イネでは地上部のNa濃度と生育阻害との相関があるのでNaの方がClよりも影響が大きいと言われています。Naのイオン障害(イオンストレス)については他の必須元素K、Mg、Ca、Mn、リン酸などの吸収を抑制するなど複合的なものです。

なお塩障害の仕組みについては最近のQ&A 登録番号3830に記載されていますのでご覧になって下さい。また、塩障害の仕組みについてもこのコーナーで沢山のご質問を受けていますので、「塩障害」「耐塩性」をキーワードとして検索して頂ければご参考になる解説をご覧になれるはずです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-08-29
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