一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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地下茎が肥大する植物について

質問者:   自営業   るさんちまん
登録番号3893   登録日:2017-09-03
はじめまして。主にレンコンを栽培している農家です。
日々の作業の中で色々と植物としてのレンコンを考えるですがどうもはっきりしないところがあり質問いたしました。
対象をひとつの植物に絞るとむずかいい面もあるので一般的な地下茎が肥大する植物(レンコンやじゃがいも)についてお聞きします。

・芽が伸びる成長と栄養を蓄える肥大とはどう違うのか?
(例えば成長は細胞の分裂であるが肥大は細胞が大きくなることなど)そして、何が要因で成長から肥大への移行が始まるのか?

よろしくお願いいたします。
るさんちまん様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。
どうも蓮根が中心の質問のようですが、地下茎でない場所が膨らむタマネギから始めさせて下さい。タマネギの膨らむ場所は葉の付け根の葉柄の基部ですが、この場所は日長(昼間の長さ)が短い間は膨らみません。日長が短い冬の間、タマネギは普通のネギと同じ様な形をしています。ところが春になって日長が長くなると、葉柄の基部が膨らみ始め、タマネギのタマが出来るのです。日長が短い間、葉柄基部の細胞は細長い形をしていますが、日長が長くなると丸い形になり、タマが出来るのです。タマネギのタマが出来るのに、細胞の数の増加は含まれておりません。今まで細長く伸びていた細胞が丸く膨らむことによってタマができるのです。植物の細胞は水を吸ってお大きくなりますが、タマネギの葉柄基部の細胞は、冬の間は細胞の周りを囲っている細胞壁のセルロース繊維が細胞の長軸と直角方向に並んでいるので、横方向に伸びられず、専ら長軸方向に伸びるのですが、春になると、セルロース繊維の並び方がデタラメになるので細胞はあらゆる方向に伸び、その結果、丸く膨らむのです。次は、ジャガイモです。イモ形成はストロンと呼ばれている地下に伸びた枝の先端部の細胞の肥大によって始まりますが、ジャガイモの場合、細胞分裂が活発になりイモ形成が進行します。ようやく蓮根です。蓮根作りの専門家に書物からだけの知識を並べ立てるのは気がひけますが、蓮根の地下茎はまずは細長く伸びます。地下茎の細胞は最初は細長い形をしています。ところが、この細胞の中に澱粉が詰まってくると、細胞が丸くなるので、細長かった地下茎は短く、太くなるのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2017-09-08
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