一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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じゃがいもが緑になるのはなぜ?

質問者:   自営業   るさんちまん
登録番号3894   登録日:2017-09-03
時たま、畑や田んぼで地下にあるはずのじゃがいもやレンコンが露出して日にあたり緑色に変色しているものを見かけます。
そこで質問です。
地下茎が日にあたって緑色になるということは、無かった葉緑素が新たにできるということですか?それとも元々あった葉緑素みたいなものにマグネシウムのような鍵となる物質が移行して緑色を発色するのでしょうか?
それと付随して、地上部(葉や茎)が枯れ始め地上部の養分(炭水化物やアミノ酸)が糖になどに変化して地下の肥大へ移行していると考えているのですがその場合、葉緑素のマグネシウムや細胞壁のカルシウムも同じように移行していくのですか?
るさんちまん 様

ご質問をありがとうございます。

じゃがいものイモ(地下茎-塊茎)は、地下にあって光合成の産物をデンプンの形で蓄積するように特化した器官ですね。デンプンは「アミロプラスト(澱粉体)」と呼ばれる細胞内小器官に蓄積されます。アミロプラストのDNA構成は光合成の機能を担う「葉緑体(クロロプラスト)」と同じですが、光が当たらない通常(地下に埋蔵)の条件では光合成に関わる遺伝子情報の発現は全般的に強く抑制されているようですので、“葉緑素(クロロフィル)みたいなもの(前駆体)”を蓄積しているとは思われません。しかし、畑にあって露出した場合や収穫後の塊茎に光が当たると、クロロフィルなどの色素とそれらを結合するタンパク質の新たな合成が進んで光合成装置が作られ、地下茎の表層部が緑化することになるようです。光が当たることで緑化が進むのは確かですが、その鍵となる過程の解明は今後の課題となります。

成長期を終えて地上部が枯れ始めると養分が地下の肥大部へ移りますが、クロロフィルの中心金属であるマグネシウムやその他のイオンの類は糖分とは違って液胞などに蓄積され、典型的には落葉などの過程で地中に還されることになるものと思われます。

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JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2017-09-07
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