一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ツユクサの蒸散量と吸水量の関係について

質問者:   公務員   トヨタハジメ
登録番号3903   登録日:2017-09-13
中学1年の息子からの質問があり、中学生の教科書を見てもわからないため、質問させていただきました。
 内容はツユクサの蒸散量と吸水量の関係についてです。
中学1年の息子が理科の時間にツユクサで蒸散の実験を行ったのですが、中学校の先生から、蒸散量と吸水量が等しいものと考えてよいという話を聞きました。そこで、質問です。
「根から吸水された水は、蒸散以外にも光合成で使われると思いますが、ツユクサの場合、根から吸い上げた水の何%が蒸散しているのでしょうか。」
どうぞよろしくお願いいたします。
トヨタハジメ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

関連するご質問が次にあり同時にお答えしようと思いましたが、少し異なった意味が含まれていますので別々にお答えすることにしました。残念ながらツユクサに限ってお答えすることは出来ません。植物における水の働きは沢山ありますが、第1に光合成に必要な還元力は水を分解して得ていますから水は消費されています。また、植物は成長しています。成長は光合成によって固定した炭素を材料として様々な体成分を合成し蓄積しますが身体の体積も増加しています。この体積増加の大部分は水によりますからその分は失われないことになります。樹木、蔬菜類を含め1日あたりで見ると、根から吸収される水の90~95%が蒸散で失われているとされています。しかし、これらの数値は、光量、温度、湿度などの環境要因ばかりでなく植物種や成長段階などによって大きく変ります。ちなみに、1gの有機物を蓄積するために必要な水の量は、樹木で200~400g、草本で400~700gとの数値も出されています。ツユクサなど草本の蒸散量の測定実験は短時間の測定でしょうから成長による水の消費を無視出来ますので吸収された水の99%以上が蒸散で失われていると言えます。ですから、蒸散量の測定実験では、吸収された水をもって蒸散量としていますね。

なお登録番号3507の解説はご参考になると思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-09-26
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