一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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しだれ柳の枝先はどうして地面に届かないのか

質問者:   一般   しゃくさん
登録番号3919   登録日:2017-09-27
小学校の自然観察のボランティア仲間の話の中で、小学生から、どうしてしだれ柳の枝先が地面に届いて、広がったりしないのか?と言う質問を受けて困った、との話を聞きました。手持ちの図鑑や、ネットで検索しましたが分かりません。何か、地面などに接触すれば枝先の成長が止まるような仕組みがあるのかと思いますが如何でしょうか。
しゃくさん様

 みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。
 質問内容で、「地面などに接触すれば枝先の成長が止まるような仕組みがあるのではと思いますが」と書かれておりますが、その通り、あり得ることと思います。
 本質問コーナーのサイエンスアドバイザーの勝見允行先生は、著書「植物ホルモン」(裳華房、1991) の中で次のように書かれておりますので引用致します。
 「植物は接触刺激によっていろいろな形態変化を示す。その1つに成長抑制がある。福岡県園芸試験場で、テッポウユリ・鹿の子ユリを温室栽培している時、温室内の通路の両側では、植物の背丈が著しく低くなることが見つけられた。これは、人が通ることによって繰り返し与えられた接触刺激のためにエチレンが生成され、エチレンが伸長成長を抑制したものであることが明らかになった。このように、接触刺激は多くの植物で、伸長抑制をもたらすが、いずれも、生成されるエチレンの作用である。」

 しだれやなぎの枝は細くしなやかですから、ちょっとした風で揺れ動き、地面に接すると常に接触刺激を受けると思われます。接触刺激による伸長抑制は多くの植物で見られ、かなり一般的ですので、しだれやなぎでも同様なことが見られるのではないかと思います。
 ただし、論文を検索しましたが、しだれやなぎでのものは見つかりませんでしたので、あくまで他の植物で見られる現象からの推測です。
 なお、植物ホルモンのエチレンの伸長抑制の機構については、高校の生物の教科書にも載っておりますが、みんなのひろば植物Q&Aの登録番号3666, 3884 をご覧下さい。登録番号2814 の「枝垂れる樹木の育ち方」も参考になるかと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-09-30
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