一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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光合成以外の光が植物に与える影響

質問者:   大学生   ひでさん
登録番号3942   登録日:2017-10-24
趣味で水耕栽培(いちご)をやっているのですが、初めは24h電気(1600ルーメン、白色led)を当てていた方がより成長するものと思いそのようにしていました。
しかし、次第に葉が枯れるようになり日照時間を16hにしたところ葉の枯れが収まりました。
養分などについては器具で一定に保っていました(hpや濃度、水は痛まないように2日に1度交換し温度水温共には20~25℃)。

これはいったいなぜでしょうか?

背景条件の不足など沢山あるとは思いますがお教えいただけると幸いです。

ひでさん 様

このコーナーをご利用くださりありがとうございます。
イチゴの栽培で、連続光照射下で育てた場合には葉が枯れるようになり、照射中に8時間の連続した暗期を入れた日周リズムの下で育てた場合には枯れが収まるとのことですね。

この違いを生む原因を考えるに際しては、まず、当てられる光の量が問題なのか、それとも、光が当てられるリズムが問題なのかと問うことになりますね。光の当てられるリズムが植物の生育に影響を及ぼすことは良く知られていますが、その現れ方は花芽の形成や形態への影響となるのが一般的で、葉枯れのような過激な現象は過剰な光照射による光合成組織の破壊(光阻害)を示しているように思えます。この質問文では光源(LED白色光)の発する光束を示すルーメン値が示されていて実際に植物に当たった光強度は不明ですが、イチゴは日当たりが悪くても育つ半陰地性の植物ですので、当てられた光の量に問題があったのではないかと推測します。園芸作物として重要なイチゴの栽培に関しては、連続光栽培を含めて数多くの試みがあるようですので、その筋の専門家に相談されることをお勧めします。

なお、質問のタイトルでは「光合成以外の光」となっておりますが、これは「いわゆる光合成色素(クロロフィル・カロテノイド・・・)以外の色素によって吸収される光」を意味しており、具体的にはフィトクロムやフォトトロピンなどによって吸収される光と言うことになりますね。この質問で問題にされている葉枯れ(及び、葉枯れからの保護)の現象に光合成色素以外の色素が吸収した光が一義的に関与しているとは考えにくいのではないかと思います。

佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2017-11-26
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