一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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みかんのへそ

質問者:   一般   you105
登録番号4046   登録日:2018-03-20
カンキツの花落ち部分が出っ張ったものと、点のようなに小さいものがありますが、そもそもこの「へそ」のようなものは組織としては何なのでしょうか?またこのでっぱりの有無で美味しさは変わりますか?
you105 様

 ご質問ありがとうございます。

 柑橘類〈Citrus属〉の花は、外側から内部に向って、5枚の萼片からなる萼、5枚の花弁からなる花冠、多数(20~60)の雄蕊が配列し、中央に1本の雌蕊が存在するというのが基本的な構造になっております。雌蕊は、花粉が付着する先端部分(柱頭)、基部の子房(発育して果実になる部分)と柱頭と子房をつなぐ花柱からできています。花落ち部分と書かれているのは、花冠が落ちた後の構造を指していると思いますが、花冠が落ちるのと前後して雄蕊も脱落しますので、後に残るのは萼か雌蕊ということになります。

 質問内容だけでははっきりしませんが、「ある柑橘類の樹木の花が散った(花落ち)あと花冠が付いていた部分を観察したら、膨らみ(出っ張り)を持つものと点のように見える構造を持つものが見られた。これは何か」という質問であると読みました。そのような質問であるということを前提として考えますと、観察されたのは子房であると思われます。受粉、受精が起きますと子房は膨らんで大きく(出っ張りに)なりますが、受精がおきなかった子房は発育しませんので点のように小さいままでいたと考えると説明がつきます。

 出っ張りが発育を続け果実になるのに対し、点のような構造は発育しないままで終わるならば、出っ張りと点は子房であるという推定は正しかったことになります。観察を続けてみて下さい。。

庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-04-18
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