一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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気孔の数の決まり方

質問者:   高校生   通りもん
登録番号4048   登録日:2018-03-22
学校で気孔について習ったときふと疑問が湧きました。そこから気孔の数は葉の成長の一定の段階で止まるとインターネットで調べました。どの段階で気孔の数は一定になるのでしょうか?また、同じ植物でも葉の大きさで気孔の数はどのくらい変わるのでしょうか?

ご協力宜しくお願いします
通りもん さん

このコーナーをご利用下さりありがとうございます。

ご質問には京都大学の嶋田先生から以下の回答文をいただきましたので、参考になさって下さい。なお、関連するものとして、葉の成長における細胞分裂と細胞伸長の関係が登録番号1468で取り扱われています。

【嶋田先生からのご回答】
通常、気孔は葉の成長のはじめの方に形成され、その後に葉が大きくなっても気孔数はさほど増えないことが知られています。このため、単位面積あたりの気孔数(すなわち気孔密度)は若い葉で高く、葉が大きく展開するにつれて低下していきます。これは、おもに気孔でない普通の表皮細胞が分裂および成長することによって、葉が大きく展開するためです。

例えばトマトの場合、約9割の気孔が葉の大きさが半分ぐらいになるまでに形成されます。このため気孔密度は葉の大きさがまだ1/10程度のときに一番高く、その後減少していきます。タバコの気孔密度も若いとき(葉面積が10%未満)に高く、成熟するにつれて1/5程度まで減少します。オレンジとトウガラシは、それぞれの葉面積が40%および60%程度のときに、もっとも気孔密度が高いです。

上記のように多くの研究例では気孔密度と葉の葉面積が調べられており、残念ながら気孔の絶対数を直接カウントした研究は見つけることはできませんでした。登録番号0929に関連した質問がありますので、そちらの回答も参考にしてください。

また、実際にご自分の目で気孔の数を確かめてみるのも良いかも知れません。気孔の数え方は登録番号3799を参照してください。顕微鏡が必要ですが、スンプ法という比較的簡便な方法で気孔の数を測定することが可能です。

嶋田 知生(京都大学大学院理学研究科植物学教室)
SPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2018-05-01
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