一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

オオヤマレンゲがコブシに?

質問者:   一般   きうた
登録番号4051   登録日:2018-03-25
はじめましてこんにちは。

昨年まで、オオヤマレンゲが咲いていた木に
今年はコブシと思われる花が咲いています。

このような事は起こりうるのでしょうか?
また、オオヤマレンゲに戻ることはあるのでしょうか?

宜しくお願いします。
きうたさん

植物 Q&A「みんなのひろば」へようこそ。質問を歓迎します。
植物形態学の専門家の福田泰二博士(元千葉大学教授)に回答していただきました。

【福田先生のご回答】
オオヤマレンゲとコブシは、どちらもモクレン科モクレン属に入れられるほどに共通点の多いものですが、相違点もいくつかあり、わかりやすいのは花の時期と花の形でしょう。花期はオオヤマレンゲは初夏、コブシは早春です(狂い咲きについては知りません)。花弁はオオヤマレンゲの方が幅が広く開花時に花弁どうしが重なり合っていますが、コブシの花弁は幅が狭いので開花時に花弁どうしはほとんど重なりません。

オオヤマレンゲの名で園芸店などで売られているものはオオバオオヤマレンゲであることが多いことにも注意する必要があるでしょう。名のとおり葉が大きい(長さ20cmを超えることもある)。オオバオオヤマレンゲの特徴としては、雄しべが濃紅紫色(オオヤマレンゲでは、多くの場合淡黄緑色ないし微紅色)であるのも特徴です。どちらも花は下向きないし横向きに開きますが、ウケザキオオヤマレンゲと呼ばれるものがあり、これは名のとおり上向きに開きます。オオバオオヤマレンゲとホオノキとの雑種と考えられているもので、葉の長さは15cm内外、雄しべは紅紫色をおびています。

一方、コブシに近縁または類似のものに、キタコブシとタムシバがあります。キタコブシは名のとおり北海道と本州中部以北の日本海側に分布し、葉も花もコブシよりやや大きく観賞価値はありそうですが園芸店などで見かけないように思います。タムシバは時にコブシと混同されていますが、コブシでは開花時に花のすぐ下に1枚の葉が出ているのが普通であるのに対して、タムシバの花の下には葉が見当たりません。これも日本海側に多いものですが、本州・四国・九州に分布します。

オオヤマレンゲもコブシもこれほどヤヤコシイものですから、質問者がご覧になっている植物が何であるのかを専門家が実際に確めないと話が進まないと思いますが、「昨年までオオヤマレンゲだったものが今年はコブシになった」というのは「昨年まで柴犬だったものが今年は秋田犬になった」というのと同程度(あるいはそれ以上)に有り得ないことでしょう。

「きうた」さんは、どのような特徴からオオヤマレンゲの花、コブシの花と判断したのかを書かれていないので、以上の回答は、私の推定を交えたものです。疑問の点がありましたら、再度事務局を通して質問して下さい。



福田 泰二(元千葉大学教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2018-04-12
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内