一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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英語の「glossy leave」は日本語の「照り葉」にあたるのか

質問者:   自営業   mochi
登録番号4092   登録日:2018-05-03
英語で書かれたバラ辞典を読んでいると、「glossy leave」という記述に度々出くわします。この言葉を日本語の「照り葉」と訳してしまってもいいのでしょうか?

手持ちの日本語の図鑑で「照り葉」の定義を調べてみたところ、「葉に光沢があること。表面のロウ物質が厚く、対病虫害性に優れる」と書かれています。英語の「glossy」は「光沢がある」のみを示しており、「ロウ物質が厚い」「対病虫害性に優れる」という部分は含まれていないように感じられます。
しかし「光沢がある」=「ロウ物質が厚い」=「余分な水分をはじく」=「湿気にも強いため、対病虫害性に優れる」と解釈すれば、「glossy leave」を「照り葉」と訳してしまっても良さそうな気もします。

同バラ辞典には「dark, shiny, and healthy leave」と記載されている箇所もあります。 healthy が「対病虫害性に優れる」にあたりそうで、こちらのほうが「照り葉」の定義に近いのかなとも迷っています。

「glossy leave」もしくは「dark, shiny, and healthy leave」は日本語の「照り葉」にあたるかどうか、ご教示いただけると幸いです。よろしくお願い致します。
mochi さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

植物生理学上のご質問ではなくむしろ英語翻訳上の問題だと思います。

まず、牧野新日本植物図鑑には8種の「テリハxxxxx」がありました。「テリハ」がつく理由に「葉に照り、光沢がある」からとの説明がついていました。照り焼きの照りと同じですね。

「照り葉」は園芸学上の語で「艶がある」「光沢がある」葉の状態を指しているようです。植物学用語としては「照葉樹林(ショウヨウジュリン、Laurel Forest)」があり、亜熱帯から温帯地域の夏期に多雨、冬期に乾燥する地域に成立する常緑広葉樹林の1つの型で、表面が平滑、光沢ある葉をもつ樹種が多い型の樹林を指しています。英名はゲッケイジュ(Laurel)の葉の状態を代表とする葉の樹種林を意味しています。なぜ、「光沢がある」かの理由として、表皮細胞壁にクチクラ(ロウ物質の1種)が蓄積していることがあげられています。

glossyの意味も「艶がある」「光沢がある」の意味で、将に「照り」と同じです。

英語版WikipediaのLaurel Forestの項には次のような記載がありました。

The forest is characterized by broadleaf tree species with evergreen, glossy and elongated leaves, known as "laurophyll" or "lauroid". Plants from the laurel family (Lauraceae) may or may not be present, depending on the location.

「光沢がある、glossy」なのは「ロウ物質」がある、だから「余分な水分をはじく」「病原菌に侵されにくい」と派生したもので、結果の二次的な効果を表したものです。「glossy leaves」=「照り葉」でよろしいのではないですか。

どちらも「見た目」を表す語です。Glossyには「体裁のよい」とか「もっともらしい」といった派生的意味はありますが「healthy、健康的」といった意味は見当たりませんでした。(ついでに、葉の単数形はleaf、複数形はleavesです)


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-05-07
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