一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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培地に使用される硫酸マンガンについて

質問者:   一般   オスロ
登録番号4156   登録日:2018-07-02
組織培養を高校時代に勉強したことがあり、その時から培地組成について疑問に思っていたことがありますので質問させていただきます。
MS培地などよく組織培養に利用される培地の培地組成の硫酸マンガンですが4水和物が使われてます。4水和物は他の硫酸マンガン水和物よりかなり価格が高いと思うのですがなぜ4水和物が使われるのでしょうか?モル質量を計算して5水和物などで代用するとなにか不都合があるのですか?
オスロ 様

植物 Q&A「みんなの広場」へようこそ。質問を歓迎します。

 オスロさんの考えはもっともです。
 硫酸マンガン(II)の市販試薬には水和水数のことなるいくつかの塩がありますが、いずれも水に溶解すれば、マンガン(II)イオンと硫酸イオンになります。このときMnの酸化数も変化しません。したがって、オスロさんの考えたように、Mnのモル量を同じにすれば、4水和物でも5水和物でも何ら差はないことになります。
 
オスロさんの質問にあるように、硫酸マンガン(II)には化学式中に含まれる結晶水の数が異なる複数種の塩が試薬として市販されています。無機化学試薬には天然鉱物を原料として製造した物も数多くあり、試薬製造メーカーが適当な鉱石を選んで製造したものを、試薬販売メーカーが商品として販売しています。おそらく、Murashige-Skoog研究室の薬品棚には、たまたま4水和物の薬品があったので、彼らがそれを使ったのではないかと推測されます。


櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-07-10
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