一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花びらの表面がキラキラしているのはなぜ?

質問者:   一般   花
登録番号4158   登録日:2018-07-07
庭に咲く白ユリの花を見て観察したところ、花びら表面がキラキラして見えるのですが、なぜでしょうか?
とてもキラキラした粉のようなものが見えるのは、ユリやアネモネなど、小さな花びらより大きな花びらの方が良く見えます。
花の表面も見えない毛みたいなものが水分を含んで反射するからでしょうか?

とても綺麗なので聞いてみました。
知ってたら教えて下さい。


花さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
花は人目にも目立ちますね。だから美しく感じてたくさんの人々が楽しんでいます。
しかし、花には目立たないものもたくさんあります。イネやシバ、スギやマツの花を美しいと言って鑑賞する人は少ないですね。花の役割はいくつかありますが、子孫を残すための装置としての役割が共通しています。植物でその役割は、雄しべの花粉が雌しべの頭(柱頭)につくこと(受粉)で始まります。受粉の仕方に、花粉を風に乗せて他の花まで届ける花(風媒花、イネ、シバ、スギ、マツなど)、動物(主に昆虫や鳥)の身体に花粉を付着させて他の花まで運んでもらうもの(虫媒花)、水の流れに花粉を運んでもらうもの(水媒花)などがありますが、美しい花を咲かせるのは虫媒花です。動物に効率よく花粉を運んでもらうためには動物を引き寄せる仕組みの1つが美しい色素をつくって目立つことです。「花びら表面がキラキラして見える」のは花粉を運んでもらう昆虫に目立つようにしているからと考えられています。人の目と昆虫の目とは色感覚が違いますが、昆虫の目でも花に近づきたくなるような配色をしていると思われます。花は花粉の運び賃を用意しています。それが蜜です。しかも動物の身体に効率よく花粉をつけるために、蜜を出す蜜腺は雄しべの基部に用意して蜜をとるためには雄しべに体が触れてしまうようになっています。他の花に行ったときには前の花の花粉が雌しべの柱頭に付着することになります(柱頭はふつうネバネバしています)。上手い仕組みですね。
花弁の色の基である色素(アントシアニンなど)は花弁の表面にある表皮細胞に貯まっています。チューリップなど花弁の表皮を剥がすと下の細胞には色素がないことが分かります。花弁の表皮細胞の多くは山形になっていて表面は例えば団子や短い太い紐を敷き詰めたようになっています。さらにその外側にはふつうクチクラ、さらにその外側にはワックス成分が覆っていて光が当たると複雑な屈折、反射をして「キラキラ」「ピカピカ」「粉をふいたよう」に見えることなります。その仕組みは植物の種類によって違います。大きい花だけでなく小さな花も同じです。水田の畦などによくあるキンポウゲの花は径1センチ位ですが内側は「ピカピカ」に光っています。
ご質問に関連したこのコーナーのQ&A 登録番号1969, 3231も参考になると思います。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-07-11
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